──トラブルが起こるからと言って、ツールの利便性を否定するのはどうかという意見もありますが。
吉田 外部の方が制作されたツールについて、僕は以前も「利用規約に書いてあります。あとはわかりますね」とお話をしていて、それ以上でもそれ以下でもありません。「使ってもいいですか?」と聞かれると、「ダメです」としか回答のしようがありません。というスタンスはいまも同じです。
──それはずっとそうおっしゃっていますね。
吉田 ここから先はゲーマーとしての一般論だと思っていただきたいのですが、PCを含んでサービスしているゲームは、PCというプラットフォームなりのおもしろさも内在していると思うのです。たとえばPS4のシェア機能はPCには存在しませんが、コミュニティを発展させるうえでおもしろいツールです。他方、PCに昔からあるMOD文化(MODはModificationの略。ゲームに独自製作したツールやパーツを乗せて新しい楽しみを生み出すPCゲームの文化)もユーザークリエイトコンテンツとして、ゲームというエンタメをさらにおもしろく活用できる要素です。モブハントの情報を集めるWebもそうですが、いまはもうそういう時代なのだと思います。
──そうですね。身のまわりでも、さまざまな形でPCを併用してプレイしています。
吉田 しかし、開発メーカーがサポートできる範囲は決まっており、そして規約も明確に示されています。そこから先の世界は自己責任。コミュニティやプレイヤーがクリエイトしたツールやWebは、特定の人にとってはゲームのおもしろさを持ち上げるものであったりしますが、それらにはウイルスのような“悪意”が込められている場合もあります。だからこそ、規約に立ち返って他者に強要するものではないと思いますし、それは使用者が自覚すべきだと思います。モラルの問題なのです。
──全肯定か全否定か、という極端な意見をよく見かけます。
吉田 ツールそのものを否定するとMOD文化のすべてを拒否してしまうことになりますし、たとえばUIをカスタムできるAdd Onがあって、それによって画面のウィンドウを『FF』シリーズらしいデザインに変えることも違反になってしまいます。これはファイル破損の覚悟をしたうえで、個人が楽しむのなら僕たちには止められません。しかし、「規約上のリスクはわかってくださいね」ということです。大手を振るってやっていいことではないのです。しかし、これらすべてを雁字搦めに封殺することは、ゲームにおける現在の世界トレンドに背を向けることだと考えているので、ポリシーは以前と何も変えていません。“悪意”は扱う人間にあるのであって、ツール自体にはありません。とはいえ、あからさまに、外部ツールのUIが表示されている攻略動画が最近増えてきているので、その部分については一度警告しようかなと思っています。