最近のFF11はPS2版FF11が足枷となり、これ以上の拡張は難しい、という状態になっています。
FF14でもFF11のように、いずれはPS3版FF14が足枷となり、これ以上の拡張は難しい、という事態にならないでしょうか。
PCとPS3など、異なるハードでのクロスプラットフォームでサービスを展開する場合、多くのユーザーを獲得できるという反面、性能の低いハードの方に合わせてゲームを作らなければならない、という欠点があります。
以前、田中プロデューサーは海外サイトでのインタビューでPS3版FF14の開発について「パソコンに比べてプレイステーション3はメモリの容量が限られています。ちゃんとプレイステーション3のメモリでもデータが収まるように最適化を進めていますが、われわれが予想していたよりも落とし込みに時間がかかっています……」(翻訳・要約)とコメントされています。
この他に考えられる問題点として、以下の点が挙げられます。
・特定ハードに依存する改善の難しい不具合・・・例)Xbox360版FF11の特定コンテンツにおけるフリーズ多発現象、PS2版FF11の特定NPCに話しかけることによる硬直問題など
・FF14サービス中における、PS4販売などによるPS3の生産・販売の終了と本体サポートの終了の可能性(FF11がプレイできるHDD付PS2はすでに生産が終了しています)
また、FF14のPC版&PS3版をFF11のPC版&PS2版と同じように「FF11でも成功したから、FF14でもうまく行くだろう」と安易に予想するのは危険だと考えます。(FF11はPS2版が先行発売でしたが、その点を差し引いてもあの時代とは様々な要因が異なっています。)
FF11の時代はPS2でできるオンライン対応ソフトは少数であり限られていて、「PS2でできるオンラインゲーム」という範疇では、FF11はある意味一人勝ちの状態でした。(ただしPS2でモンスターハンターが発売された時、FF11の接続者数が一時的に減少した記憶があります。FF11内で「人が少ないね。みんなモンハンやってるのかな」みたいな会話も飛び交っていました。)
現在PS3ではグラフィックが美麗なゲームや数多くのオンライン対応ゲームがあり、多数のPS3ユーザーをPS3版FF14に取り込み、継続的な課金を望むのならば、それらのソフト群に勝つ必要が出てきます。
PS3を起動させて、クロスメディアバーに表示されるいろんなソフトの中から「FF14」を選ばせる必要があります。
また、PS3で面白いソフトが出るたびに「ちょっと課金を休止して、このソフトを遊ぼう」ということも有り得ます。MMOはいったん休止してしまうと、復帰するのにはそれなりのパワーが必要になります。
そう考えると、「MMOプレイヤー」層と「PS3ユーザー」層の間にはかなりの隔たりがあると言えるのではないでしょうか。
FF14は「その隔たりを超える面白さを提示できるMMO」になれるのかどうか。これが勝負の分かれ目になるわけですが・・・。
これはFF14に限らずとも、おそらく、仮に他の世界的に成功しているMMOがそのままのシステムで日本語化され、PS3用に発売されたとしても、多数のPS3ユーザーを取り込めるかといえば、かなり難しい部分だと思います。
ソフトラインナップが充実し、次々と魅力的なソフトが発売され、手軽にオンラインプレイできるソフトも揃っているPS3というハードで、一つの目標を達成させるのに労力と時間のかかるMMOというシステムのゲームを選ばせ、継続的な課金を続けさせるのは至難の業だと思います。
しかし、多数のPS3ユーザーを取り込むことができなければ、PS3版FF14の発売はFF14活性化の起爆剤にならず、その後のFF14のサービス存続に影響を及ぼす事さえ考えられます。
・PS3版FF14がPC版FF14の足枷となり、ゲーム内容や拡張性に制限が生じる可能性
・MMOというシステムのままでは数多くのPS3ユーザーを取り込めない可能性
この2点から、PS3版FF14はPS3というハードに特化した別バージョンとして出したほうがいいのでは、と提案します。
PS3版FF14の別バージョンの具体的な案としては以下のものを提案します。
・DQ10で提示されたオンラインRPGの方式(月額課金制)
DQ10・・・Wii(Wii U)と3DSを連動させたオンラインRPG
FF14・・・PS3とPSVitaを連動させたオンラインRPG
WiiではDQ10、PS3ではFF14という新たな位置づけを提示する。PSVitaとの連動でDQ9のすれちがい通信の「宝の地図交換」のような機能を付加する。
DQ10が成功した場合、類似システムで作られているPS3版FF14に、DQ10ユーザーを引き込める可能性も見込める。
「クロスプラットフォーム展開」は多数のユーザーを獲得する手段としては有効な手段だと思います。
しかし「クロスプラットフォーム展開」という固定観念にとらわれ、ゲーム内容は性能の低いハードに縛られ、かつ性能の低いハードで多くのユーザーを獲得できない事態になったりすれば、本末転倒ではないでしょうか。
FF14というコンテンツの成功の一手段として、「ハードの特性を活かしたFF14の別バージョン」も選択肢の中に入れるべきなのでは、と思います。