プロデューサー兼ディレクターの吉田です。

高アイテムレベルのクラフト追加について、ご要望、ディスカッションありがとうございます。
クラフトの現状と今後について、コンセプトと方針についてポストさせていただきます。

■高アイテムレベルのクラフトについて■
現在のFFXIV Version2.0~2.1のアイテムレベル上限はレベル90と設定されています。
(皆さんの所持率を見て、ほんの一部だけバランス調整の予定があります)
このアイテムレベル90は最高難易度のコンテンツクリア報酬、もしくは「トークン制」と呼んでいる
アラガントームストーン:神話を集めることで、そのストーンと交換して入手するという、
2系統の入手方法が用意されています。

相対するクラフト側で製作できる装備アイテムのアイテムレベル上限は現在レベル70で、
確かに単純にレベルだけを比較すると、レベル20の差があり、大きな開きがあるように感じられます。
そのためクラフターには「マテリアクラフト」と「禁断のマテリアクラフト」という、
「その時点のアイテムレベル上限は超えられないが、近づけることができるシステム」が用意され、
このマテリアクラフトとの組み合わせによって、
「最高難易度コンテンツに挑戦する装備は製作可能にする」というのが基礎方針になっています。

ただし、それと同時に
「その時点でのアイテムレベル上限を超えるアイテム、完全に並べるアイテムは、クラフトでは製作不可能」
というのが大原則です。

これには以下のような理由があります。

■バトルコンテンツ突破のモチベーション維持■
プレイヤーの皆さんの大きなモチベーションは、やはり「強くなること」になります。
(もちろん、それがすべてという話をしているわけではないので、その点はご理解ください)
特にモンスターと戦うバトルコンテンツ(PvE)では、そのコンテンツをクリアした時に得られる、
強力な武器や防具が、そのコンテンツへチャレンジするための大きなモチベーションになります。

しかし、これがクラフトの中で生み出せることになってしまうと、バトルコンテンツへの動機が弱くなり、
「難しいコンテンツをクリアするより、ギルで強いアイテムを購入した方が楽だ」という考えが生まれます。

もちろんこれは「極端」なお話であって、実際には「強いアイテムには膨大なギルが必要だし、
バトルコンテンツに行こうか、やはりギルを貯めようか、悩むなあ……」という要素に
なり得ることは理解しています。

■その時点での最強装備は誰もが手に入れる物ではない■
もうひとつの前提として
「そのパッチの時点での最強装備は、誰もが手に入れられるものではない」
という定義があります。
Version2.0~2.1までは、大迷宮バハムートのクリア報酬で手に入れられる、
アラガンシリーズの装備アイテムが最強であり、全プレイヤーが入手できる難易度ではありません。
ですので、手に入れた人にとっては最強でも、手に入れていない人には最強にはなり得ず、
コンテンツの難易度緩和を待ったり、トークンによって交換するアイテムで代用していくことになります。

それらアイテムを得るために、少しでもクリアを楽にするためにクラフターの装備が存在し、
これはパッチによるアイテムレベル上限が引き上げられると、同じタイミングでクラフターが製作可能な
次の高アイテムレベルレシピ追加によって、常にその差が維持されるようになります。

今はまだパッチがリリースされていない状態ですので、どうしても固定に見えてしまいますが、
パッチリリースが進めばアイテムレベルは縦に伸び、その分だけクラフターにはチャンスが拡大します。
クラス/ジョブのレベルは50でしばらく止まりますが、アイテムレベルは伸びていきますので、
レベル50以降のキャラクター育成では、装備こそが育成の大きな主眼になるためです。

プレイヤーのプレイ時間差も、パッチが進むと開いていきますので、
(遊び方の方向性によっても、強さという縦軸で見れば差が開く要因になります)
現状のように狭い範囲内での利益争いも緩和されることになります。

これによって、現存するアイテムレベルの上限と等しく同じ物が作れなくても、
クラフターの地位は絶えず存在できる、というのが新生FFXIVの考え方です。

■RMT(リアルマネートレード)への対策■
「例えば大迷宮バハムートで素材をドロップさせ、そのレア素材で高アイテムレベルの
クラフト製品を生み出せば、入手価値を維持してクラフトできるのでは?」
というご意見について。
「相当な金額になるから、金策するために時間を消費するので、選択肢のひとつにすぎない」
というのは、前述の項目の中でも触れた通り、ご意見の趣旨としても理解しています。

システム的には当然可能ですが「ギルで高アイテムレベルの装備が購入できる」ことに違いはありません。
最大の問題は、これによってRMT業者の介在がより激しくなることです。
我々は完全撲滅を目指して、今も週に数千のアカウントを排除し、ギルを没収し続けていますが、
皆さんから「クラフト製品の需要がない」と言われている今ですらこの状況です。

これから先も、FFXIVを運営し続ける限り、RMT排除に最大の努力をすることをお約束しますが、
「最高アイテムレベルの装備がギルで購入できる」ということにより、業者は
  • ダンジョンを占拠して素材ファーミングを行おうとする(素材の占有)
  • 巨額のギルで最高アイテムレベルの装備を買占め、さらに価格を釣り上げようとする(市場の操作)
  • プレイヤーへのギル購入勧誘をさらに激化させる(スパムの拡大)
などを行うと予測しており、これを最大化させないという意図も設計に入っています。
また、この場合には、業者からギルを購入するプレイヤーが、どうしても増えてしまうことから、
このサイクルが延々と途切れなくなっていってしまいます。

ゲーム内通貨にも上下関係を持たせ、トレード不可通貨によってのみマーケットのアイテムを購入可能、
という仕様も検討した時期がありましたが、普通に遊ぶ場合には意図不明になってしまうので、
この仕様は採用には至りませんでした。

■現状の問題点とこれから■
色々述べましたが、現在はまだパッチがリリースされておらず、アイテムレベルの範囲も狭いため、
レベリングの途中で入手したアイテムが大部分の需要を満たしてしまったり、
あまりにもクラフトしたアイテムの寿命が短く、プレイヤーの購入意欲につながらない点。
また特に武器については「レリック」がある意味標準化されてきていることによって、
需要機会が失われていることは強く認識しています。

ここはアイテムレベルが広がるのを単に待つのではなく、パッチ2.1ではウルヴズジェイルのための
PvP用品の需要
や、ハウジングによるクラフト製品の需要を作るようにしてあります。
パッチ2.2では、装備デザインを別の装備のデザインに変更できる
「型紙(仮)」と呼んでいるシステムを実装し、クラフターの装備への介在を大きく確保するつもりです。
その点、何もしないということは絶対にありませんので、今後についてもご安心いただきたく思います。

こうしたクラフターの需要については、PvE/PvP/ハウジングなど、エンドコンテンツのすべての方向で、
必ず「どこにその需要と商機を作るか」を考えていますので「最強装備を作る」という軸ではなく、
「変貌するエオルゼアという世界の『どこに』『今の』需要と商機があるのか」

お楽しみいただけるよう、コンテンツやシステムを作っていこうと思います。