Page 1 of 8 1 2 3 ... LastLast
Results 1 to 10 of 76
  1. #1
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50

    ユーザイベント:一緒に「エルの日記」を読みませんか?

    このスレッドに掲載している冒頭の長編小説は、1ユーザーによる、FF14の2次創作です。2012年中に発表された情報(終末ムービー、α版動画)までを参考に構成されています。つまりほとんど正式発表が無い状態から、私の様々な予測とハッタリ(^^;で制作されているため、現実のエオルゼアとは全く関係が有りません。そもそも大外れである可能性が極めて高いことを念頭に、スレッドにご参加ください。

    小説の置き場所として、冒頭の約40発言を予約しております。スレ立てはなるべく人がいない時間を選びましたが、それでも一部の方には不快な思いをさせたかもしれません。ご迷惑をかけた方にはこの場を借りてお詫びします。

    私が提供する小説の世界をネタに、色んな雑談をしたり、イラストや別の物語とかを提供してもらって喜んだり出来たら良いなと思ってます。スレ主の5年後予想が外れる様を大笑いするためにもご利用ください><

    更に詳しい説明はこの発言の最後のリンク先に置いています。




    みなさん、こんにちは。
    あるいはおはよう、こんばんわ?

    後に第7霊災と呼ばれる、
    バハムートによる広域災害。
    私はあの時、
    冒険者の一人として
    呆然と立ち尽くし、
    ルイゾワさんの時空転送魔法に
    救われた一人です。


    だけど、あれ?
    どうも私が降り立った世界は、
    皆さんが降り立った
    5年後のエオルゼアと、
    色々違うようなのです。

    すいませんが皆さん、
    そちらの世界と、こちらの世界の、
    違いを教えて頂けませんか?

    こちらの世界の特徴を
    少しお伝えしますね。



    そして今、
    女の子が書いた数冊の本が、
    私の手元にあります。

    これは「エルの日記」。
    震災の時代に生きた、
    一人の女の子の物語。

    私は皆さんと、
    この日記を読んでみたいと
    思います。
    そして、こちらと、そちらが、
    どこが同じで、
    どんな風に違うのか、
    過去に何があり、
    未来にどんな希望があるのか、
    思いを馳せたいのです。



    さあ、まずは日記を読みましょう。
    最初の1ページ。物語をどうぞ‥‥。








    α版ですが、
    再編集バージョン(pdf版)
    Kindle等電子ブック用(mobi/epub)
    を置いておきます。
    縦書きなので読みやすいかな?
    構成も大幅に見直しています。こちらが最新版です。


    小説を読む方はこのまま読み進んでください。
    ※土曜日に次回UPの準備をします。


    小説を飛ばして
    「イラスト募集!&小説を肴に雑談しませんか?」
    に進む方はこちらのリンクにお進みください。

    (27)
    Last edited by lucia; 03-03-2013 at 11:55 AM.

  2. #2
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50



    そこは神々に愛されし地、エオルゼア。森の都の木工ギルドには、孤児院が設けられています。そこに、言葉を発しない女の子が住んでいました。でも、とても感情豊かな子だと、すぐにわかりました。

    「こんにちわ!」
    (‥‥)

    無口な振る舞いとは裏腹に、彼女の笑顔はとても自然でした。私にはわかります。彼女はちゃんと挨拶をしています。


    彼女には、心で直接、想いを伝える事が出来たのです。


    半年ほど前から、後に冒険者と呼ばれる異邦の旅人が各地にあらわれました。何を隠そう、私もその一人なんですけれども。冒険者の共通の特徴はこんな感じです。

    ・過去視と呼ばれる特殊能力を持っています
    ・モーグリや森の精霊たちの心の声がわかります
    ・何らかのご加護(12神?蛮神?なんでしょうね?)が既にあるらしいです

    などなど。過去視とは言っても、ちょっと他人の秘密を知る事が出来る程度で、どーにも役に立った記憶が無い割に、トラブルばっかり巻き込まれる厄介な能力でしかありませんが‥‥おっと。あと、ちょっと不便なことは「エオルゼアに来る前の記憶が不完全」なのです。誕生日とか名前とかは覚えているのですが、そこから先はあいまいでして。

    幸い、私のような境遇の人はたくさん居たため、今は気の合う仲間同士、冒険家業を続けています。ただ一人、「エル」という名の少女だけは異なりました。


    彼女の境遇は私たちと同じだと思います。恐らく過去視や心の声を聴くことも、同じようにできるのでしょう。ですが、なぜか彼女だけ、非常に幼かったのです。このグリダニアに迷い込んだのは私たちと同じころですが、年齢は当時わずか7歳。しかも、彼女は言葉を発することがありませんでした。


    (‥‥)
    「ん?また冒険談を聞かせてほしいの?」

    失礼、言葉は喋りませんが、私たちだけに聴こえる「心の声」、それが彼女にはあります。名前も歳も誕生日も、心の声で聞き出したのですけれども‥‥。


    「うーん、そろそろちゃんと『喋る』事に慣れていかないと、みんなと遊べないよ?」
    (‥‥)
    「私たちと遊べるから良いって?そーしてあげたいのは山々だけど、私も他の冒険者さんたちも、ずっとここに居られないし。ああ、そうだそうだ、良いモノ、持ってきたの。」

    (‥‥?)

    小首を傾げるしぐさ。この子はロングの髪型もあって、お姫様みたいで可愛いのよねえ!あああっお持ち帰りしたいです!ぎゅーっと抱きしめて、お風呂で髪の毛をきれいに洗ってあげて、それからそれからそれから!!

    (‥‥><)

    距離を取られてしまいました。こちらの心の声も筒抜けなので、邪な思いは程々にしておかないと本題に入れません。そう、今日はしゃべる癖が無い彼女へのきっかけになるかなと、あるものを用意したのです。


    「じゃじゃーん!エルちゃんに『冒険日記』と『魔法の玉』をプレゼントです!」
    (‥‥!!)

    目の前に広げられたノートを、彼女はキラキラした目で覗き込みます。


    これなに!ぼうけん!?かくもの?こっちはなに?キラキラしてる!光ってるの?きれーだね!でも何だろうこれ?あ、でも書けるかな?本を読んだことはあるよ!だけど文字なんてちゃんと書いたことなんて無いよ!にっきって何を書くの?どうしよう!どうしよう!


    「わ、わ、わ、待って待って、落ち着いて。」

    心の声の速射砲。防ぐ手段が無いから実は中々うるさいのですよ。

    (!?‥‥)

    ほおぉぉぉお、という目です。やっと落ち着きました。魔法の玉の方は、後で先生に使い方を教えて貰えばいいからね。喋らないと伝えられない先生に質問するのは、今のエルちゃんにはハードルが高いですけれども。

    だけどね。これだけ表情豊かで、伝えたい心もいっぱいな彼女ですから、ちゃんと喋るようになれば、お友だちだって沢山できます。だからね。

    「そうそう、うん、『お も い ま す』、そう、こう書くの、‥‥できたね!」
    (‥‥)

    首を上下にブンブン。そしてニコーっと笑います。


    「お、なんだ書けるじゃんお前。」
    「何してるのー?」

    悪ガキどもの突然の乱入に、エルちゃんはビックリ仰天、口をパクパクさせてます。

    「冒険に連れて行ってほしいんだって、エルちゃん。」
    (‥‥!!!)


    お姉ちゃん何言ってるの!私そんな事言ってないよ!冒険なんて!冒険なんて!え、でもにっきに冒険を書くの?冒険って何をすればいいの?私にもできるの?連れてってくれるの?お願いしたらいいの?どうしよう?どうしよう!何をすればいいの?教えてお姉ちゃん!


    (一緒に連れて行って、って、言葉で伝えれば、いいよ)

    私は彼女の目を見て、心でだけ、伝えました。ごくん。彼女がつばを飲み込む音が聞こえます。そして、思いっきり息を吸い込んで‥‥

    「っえほ、げほっっ!」

    むせこみました。少し吹き出したら睨まれました。ごめんごめん。
    もう一度、落ち着いて。さあ‥‥。

    「あ‥‥つれ、て、行って?ぼう‥‥けん!」

    悪ガキたちは目を合わせた後、

    「おう、来いよ!‥‥でもお前、字、きたねーなーー(笑)」

    そのやり取りに。

    「あはははは!!」

    ごめん、もう我慢できない!大笑いの私に、エルちゃんはほっぺた膨らませて、(なによ!しかたないじゃない!これからきっとうまくなるんだから!)と非難の心をぶつけてきました。

    「あはは、ふうー。‥‥さあ、冒険に行っておいで。みんな、一緒に遊んであげてね。」

    それぞれに手を振って遊びに行く皆を見送りながら、私は両手を腰にあて、一息です。いつか一緒に冒険できる日が来ればいいねと。

    「エルちゃん、日記楽しみにしてるからね!」


    そして空を見上げました。木陰からチラチラと見えるそれは、先日より不気味な光を放つ赤い狂星。私たちはいつか、あの星に冒険を挑むことになるでしょう。そんな予感がします。

    気が付けば光り輝くリンクパールが一つ。どうやら私にも、新たな冒険が始まるようです。今度会えるのは何時かしら?そんなことをちらりと思いながら、私はリンクパールを耳に当てます。


    けれども私が、エルの日記に綴られる冒険の顛末を知るのは、思わぬ未来の話となります。彼女が歩いた軌跡は、「心」の意味を辿る旅でした。

    彼女の冒険には、どんな未来が待ち受けているのでしょうか?とても、楽しみです。
    (10)
    Last edited by lucia; 02-05-2013 at 09:36 PM.

  3. #3
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50

    (artwork Van)

    エルの日記

    これは一人の少女の物語
    そして新生へと続く物語




    「エルの日記」は、第7霊災の時代に少女時代を過ごした一人の女の子の日記をテーマに、エオルゼアを舞台に描いた長編小説です。FF14の2次創作となります。

    この物語は新生α動画(2012年末)までに公開された設定などを元にしたフィクションです。内容の一切について、実際のエオルゼアとは関係がありません。ご了承ください。
    (11)
    Last edited by lucia; 02-03-2013 at 07:37 PM.

  4. #4
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50



    (タイトル無し)
    ぼうけんしゃのおねえさんが、ノートをくれました。
    うれしいです。

    にっきをつけたいとおもいます。




    (タイトル無し)
    おとこのこに 字がきたないって笑われました。
    じぶんだってきたないくせに。

    くやしいのでかき取りがんばります。


    (以下、書き取り沢山。略)



    だい6星れき1567年
    ぼうけんしゃのお姉さんに日記を見せました。
    「タイトルと日付と天気を書くといいよ」って言われました。

    今日は、6月21日。
    てんきは、いつでもお空はもりです。タイトルはおもいつかないの。

    「じゃあ、タイトルは星れきにしてみたら」
    えっと1567年。学校で習いました。だい6星れきです。
    かっこいい書き方だと、A.E.1567 6/21です。

    でも、だい6ってことは1から5もあるんだよね?
    お姉さんは「よくわからないわー」って言ってたけど。
    今度先生に聞いてみよう。




    リンクパールでおはなし
    8月7日 くもり

    お姉さんがくれた きれいなまるい石があります。
    耳に当てると お姉さんのこえがしました。

    お友だちのきねんに、プレゼントです。
    ずっとしゃべってたら怒られました。お出かけするんだって。

    おしゃべりするかわりに、こんど、日記でぼうけんじまんするの。
    ぜったい、かつんだから。




    どうくつぼうけん
    9月3日 くもり時々かみなり

    ついに行ってきました。どうくつぼうけんです。
    先生をリーダーに、わたしたちのぼうけんたいは、幻術に守られたどうくつをつきすすみ、ついに、あたまにつのをはやした悪の大王をたいじしたのです。

    LSでお姉さんにここまで話して怒られた。
    「ひなんくんれんでしょ?真面目にやんなきゃだめよー」
    冗談が通じない大人です。

    おねえさんは、赤い月に戦いを挑む冒険中らしいですが、
    日記のネタバレだからってこれ以上教えてくれませんでした。

    ヒントはお空にあるそうですが、空は森だよね?











    (タイトル・日時不明)
    こわい こわい
    たすけて
    (10)

  5. #5
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50



    A.E.1567年9月5日 午後1時42分過ぎ、衛星ダラガブより蕃神バハムートが放たれ、エオルゼア全土に対する爆撃が行われた。

    連合軍は壊滅の憂き目に会い、エオルゼア各地に恐るべき被害がもたらされた。都市間通信網の途絶により状況把握が困難な状態であるが、被災から数日が立ち、各都市の状況について速報がまとまったので報告する。

    まず、ダラガブ落着地点に最も近いウルダハであるが、建物被害は9割を超え、もはや都市の痕跡を探すことすら困難となっている。しかしながら驚くべきことに、人的被害について、死亡・行方不明者は全人口の1割以下であるとの政府発表があった。

    本都市の成り立ちが鉱山都市であり地下道が張り巡らされていること、数週間前より都市内部に帝国軍の侵攻が繰り返されたことで市民らの危機意識が高まっていたこと、何より女王自ら立案された避難防災計画が適切に機能したことが功を奏したとされる。

    グリダニアについては建物被害・人的被害共に3割弱程度。落着地点より相当離れており、かつ森が結界となったため、ある程度の避難時間が稼げた。

    しかしながら大規模な森林火災が発生し、現在も鎮火していない。幻術ギルド・園芸ギルド混成隊による消火活動は難航しており、最終的な被害予想は楽観できない。

    今回最も大きな被害を受けたのはリムサ・ロミンサだ。全人口の実に半数が、死亡又は行方不明とされている。

    バハムートの封印が解けた最初の爆撃で陸地との接点・ゼファーゲートが落ち、多くの市民が逃げ場を求めて港に殺到した所に、ダラガブ消失の重力場変動による津波が発生した模様。

    空からの爆撃も合わせ、完全に孤立。海運都市のアキレス腱を露呈した。最終的に生き残った市民の多くは中央棟ミズンマストに避難していたが、もしミズンマストの防衛に失敗したなら、都市壊滅の可能性もあったと指摘されている。

    なお、ミズンマスト防衛に関し帝国艦隊が関与したとの情報も寄せられているが、噂の域を脱していない。詳細が分かり次第追って報告する。
    (10)

  6. #6
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50



    ひかりのはしら
    9月12日 ☆☆☆

    外にでることが出来ました。

    びっくりした。
    星って、こんなにキラキラしてたんだ。

    モリのない空なんて初めて。
    おうちもなくなっちゃったけど。
    泣いてるひともいたけど。

    きれい。たのしいかも。

    それと北のむこうに、ひかりのはしら。すごいね。
    先生に聞いたら、しらなかったよ。

    あんなに高いのに。めをとじてもみえるよ。
    (10)

  7. #7
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50



    グリダニアで見た初めての星空。
    彼女にとっては第7霊災も、楽しい想い出になったのかも?
    でも、楽しんでばかりはいられない。復興の道のりはまだまだ険しくて‥‥



    自分のバカ
    9月13日 はれ

    たのしいなんて書いてた自分に思った。

    たいへんだ、たいへんだ。
    川に水が無かった。上で、止まってるそうです。
    2じかんも歩いて、バケツで水を組んできました。

    へとへと。べとべと。水浴びしたい。




    エルの日記
    10月6日 くもり

    フフチャさんに、
    もっと出来事を書くといいよ、って言われたので、少しがんばります。

    どうして?って聞いたら、
    「日記を持ち出せた子はあなたくらいよ。私も書くものがなくて大変だわ」
    だって。

    じゃあわたしのノート使って?って言ったら、わらってた。

    物忘れがひどくて、もうとしだわー、って言ってたじゃんって言ったら、おこられた。大人はもっと、子供の気づかいに感謝するべきだと思う。

    そういえば、あれから冒険者のお姉さんとお話ができません。たくさん書いたので、きっとエルの日記が勝つと思います。待ってるからね。



    ここから少し日時が過ぎます。
    霊災の混乱から半年が過ぎ、大変ながらも人々の生活は落ち着いてきた模様。
    新しい生活に、新しい住民。どんな出会いがあるのかしら?



    疎開してきたモーグリさん
    1568年3月5日 晴れ

    あれから半年が経ちました。気がついたら新年も誕生日も過ぎちゃった。
    ざんねん。12/20で9歳になったよ。

    そういえば、疎開してきた人の事を書いてなかった。
    しばらく、新しい住民さんのことを書きます。

    まずはモーグリさん。

    森の大火事のときに、尻尾に火がついたモーグリさんたちがくぽくぽくぽーーー!って言いながら洞窟に駆け込んできました。火がついたまま飛び回って、ボヤ騒ぎになりかけて、ちょっとすごかった。

    それからずっと、街の一角に住み着いています。




    モーグリさんの心の声
    3月6日 雨のちくもり

    モーグリさんたちは最初、クポクポしか言いませんでした。実際にはしゃべってるんだけど、言葉で聞こえないの。心に喋ってるんだ。幻術ギルドの人は聞こえるのか、最初から普通にしゃべってます。

    わたしも心の声は聞こえるけど、喋ったことはありませんでした。近づくと「子供怖いクポーーー!」って逃げられてばかりで。誰かいじめたなあ?

    最近では街中でお仕事を始めたようで、ちゃんと口で喋って街の人とお話しています。みんな健気にお仕事頑張ってるよ。

    でも、聞かれてないと思ってるのか心の声が結構黒いの。これは秘密!




    子供王国
    3月7日 雨

    いま、グリダニアは子供王国です。
    ウルダハとか、リムサから、たくさんの子供達がやって来ました。

    どちらの国も、災害で大きな被害を受けて、建物を作り直してるそうです。お空の化け物も居るし危ないので、比較的安全なグリダニアに子供を集団疎開させることになったと、先生が言ってました。

    子供のほうが大人より多いかも。学校、先生大変そう。

    子供王国なので、王様を決めないといけません。みんなの中で一番の冒険談を披露した子が王様になる決まりです。

    今のところ、リムサから来た子の話が一番すごいけど、ウソっぽいのでしんぎちゅう。船が空をとぶんだって。信じられる?
    (10)
    Last edited by lucia; 01-30-2013 at 05:03 AM.

  8. #8
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50



    日付は少しさかのぼり、1568年2月のある日。
    リムサ・ロミンサ軍令部の一室が、大柄の男の怒鳴り声に支配されていた。

    「帝国の動きはどうなってる!バハムートはどこに行った!連合軍、提督たちの行方は?」
    「現在のところ、どちらの動向もつかめておりません。調査隊を派遣しておりますが、都市間通信網も途絶えており、報告にはあと数か月が必要と思われ‥‥」
    「話にならん!」

    軍令部総長エインザル・スラフィルシン大甲将。メルウィブ提督の留守を任されていた彼は、いらだちを隠すこともなかった。しかし士官たちも慣れているのか、それでも淡々と報告を続ける。

    「あと、リムサが帝国に守られたのではという噂が流れ始めています。」
    「‥‥」

    怒りの表情が消える。士官たちにとって、怒りをまとってる方がエインザルの通常だ。緊張感が漂う。

    「続けたまえ。」
    「はっ。今のところ『空を飛ぶ船』がバハムートに立ち向かった、という趣旨になっています。当時、主だった市民はミズンマストに収容済みだったため、目撃者自体は少ない状態ですが。」
    「『船』はどこの船だと?」
    「リムサの新型艦は空を飛ぶらしい、という説が有力ですが、帝国艦隊だという話も流れています。内容も、波動エンジンで主砲が宇宙の彼方まで届くとか、3機が変形合体して愛を唱えるだとか。」
    「なんだそれは、子供のうわさじゃないか。」
    「はい、まさに子供たちが流している噂です。」
    「ふむ‥‥」
    「ただし、噂が主に流れているのはグリダニア領です。」
    「なんだと、どうしてグリダニアで‥‥いやいい、そこは分った。」

    先の災害では、リムサとウルダハは共に学校施設に大きな被害が出た。今後も危機が続くという想定の元、比較的安全と思われるグリダニアに集団疎開させる協定が結ばれている。子供たちが噂の出どころというなら、グリダニアでまず広がるというのは当然の成り行きだ。

    「しかし、グリダニアか‥‥。我が国の威信にかかわる『噂』が他国で流れるというのは、穏やかじゃないな。手は打ったのか?」
    「検討中ですが、なにぶん通信網に被害が出ている状況では早急な指示が行えず‥‥」
    「いっそのこと派手にぶちまけるか?帝国の支援が無かったらミズンマストの防衛は無しえなかったと!」
    「それは‥‥」
    「そして次回トライデントに帝国艦が出ればいい!空を飛ぶ戦艦に勝てる海賊などいないだろう。晴れて我が国は帝国領土になる!」

    エインザルの笑い声が響く。明るい声と裏腹に、場の雰囲気は氷のように冷えていた。

    「いや、これは悪い冗談だったな、すまない。」
    「‥‥いえ」
    「せめて提督の行方だけでもつかめておればな。」

    士官は視線を少し下げる。エインザルは沈思し、告げた。

    「いずれ事実を公にする必要はあるだろうが、今はまだ早い。ウルダハ・グリダニアの上層部に事実だけを伝え、噂が報道に乗らないよう手を打ってもらえ。紙に情報を残すな。言葉だけなら、いずれうやむやにできる。」
    「わかりました、そのように。」

    士官が部屋を出た。一人残った男はつぶやく。

    「バハムートを止めたのは我ら連合軍なのか?それとも帝国が抑え込んだのか‥‥?情報が足りん、情報が‥‥」
    (10)
    Last edited by lucia; 02-01-2013 at 10:15 PM.

  9. #9
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50



    なんだかきな臭い出来事が進行してるようですが、
    エルの日常はそんな事とは無関係に流れます。

    新しい仲間と出会い、そろそろ本格的な冒険が始まるかも。
    さて、日記を覗いてみましょう。



    空飛ぶ海賊船
    3月9日 はれ

    問題のリムサを守った船について、今日もしんぎがありました。なぜか裁判になっていました。王様決めるんじゃなかったっけ?被告?はリムサっ子の女の子です。

    私は書記役。勉強用以外のノート持ってるの私だけだからって。うーん、仕方ないので、今日はここから、日記代わりに証言メモです。

    被告
    ‥‥それで、何とかしがみついたロープをつたって、(ミズン)マストによじ登って。扉も窓も、もう全部閉まってて入れなくて。上の方で大砲とか魔法とかチマチマ撃ってたけど、全然当たらないの。

    そのうちおーきいのがバーン!で、魔法結界があっさり吹き飛んで。そこにもう一発、真正面。もう、クジラが飛んでくるような。

    でも、もう逃げられない!って時に、クジラの横っ腹に噛みついたやつが居たんだ。それが空飛ぶ船だったんだよ!うそじゃないよ!

    裁判長
    被告に確認します。「空飛ぶ船」とは、具体的にはなんですか?リムサの海賊船ですか?帝国艦隊?

    被告
    リムサの新型宇宙戦艦にキマッテルじゃない!宇宙の果てまでブッ飛ばすのよ!

    外野
    ちょっとちょっと!あれは帝国の船じゃないかなぁ?

    被告
    えー、夢が無いわね!
    とにかく、火柱やら雷やら音やらすごくて。大きいものが空でぶつかってて。でも竜の化けもの凄くて、船も2~3隻は落ちてた。けっこー頑張ってたけど。



    ここから検察やら弁護人やら言い争いです。私が面倒になったので終了です。そもそも何で裁判?あ、王様決めるんだっけ。とりあえず、裁判長が一番偉いと思いました。




    キャプテン・書記長・裁判長
    A.E.1568年4月2日

    私たちの班には、長が3人います。船長(キャプテン)と裁判長。
    ‥‥あと書記長。私。

    新学期になって班分けがありました。そのとき、こないだの裁判騒ぎで中心となった二人と一緒の班になったです。
    たいへんです。

    キャプテン:リムサの女の子、ミコッテのルーシーちゃん
    夢は提督、キャプテン志望のロマンチスト。
    女の子らしからぬ特攻思考で、班のみんなを引っ張ってます。
    体育会系だけど、実は勉強もトップクラス。

    裁判長:ウルダハの男の子、ララフェルのレレセナ君
    お金持ち?のメガネ君。理屈っぽいのが玉にきずだけど、誰かの意見に偏ったりしない、周りをよく見る優しい子。ただ、裁判の一件からキャプテンと仲が悪いんだよなあ。

    手が先に出るキャプテンと口が先に出る裁判長では、裁判長のほうが相当分が悪いと思う。だからって私を間に挟んで言い合いするのはやめてください。耳が、ばかになりそう。。。




    さくランナーが錯乱だー(前編)
    A.E.1568年4月5日

    最近になってやっと、安心して外で走り回れるようになりました。今日は、去年からずっと延期されていた運動会とお花見を一緒に行おうという、おとながかんがえたすごいおまつりがありました。

    「ウルダハからはるばる聖火ランナーがやってくる本格的なイベント」といううわさを聞きつけたのか、当日は結構な見物客が来ました。聖火じゃなくてサクラが入場してきました。

    なにこれ。

    「ウルダハの錬金技術の粋を集めた、トレントと桜を掛け合わせた、名付けて『さくランナー』の入場です!訓練されたサクラの一糸乱れぬ行進をご覧ください!」

    というアナウンスとともに、大量の桜が整然と並んで入場してきました。

    その後が大変だったけど、疲れた今日は眠い‥‥明日続き書きます。




    さくランナーが錯乱だー(後編)
    A.E.1568年4月6日

    昨日の続き。
    訓練されていないサクラでした。訓練されたサクラなんて見たことないけど。

    「ふむ、さくランナーがさくらんだーか。」
    唐突に裁判長が呟きます。まだ肌寒いこの時期にはきつい。

    「ふーん、さくランナーがさくらんだーね。」
    キャプテンが呟き返します。これはまた、ケンカの流れか。

    「それは、いいわね!」
    よくないよ?と思います。この二人、ダジャレのセンスが同じだ‥‥。

    キャプテンは体育委員に立候補して、徒競走のピストル管理をしてました。リムサの人間は銃を扱う権利と責任があるって言ってたけど、その時はそんなことはどうでもよくて。

    「パーン!」
    銃を撃ってはトレントを追い立てるキャプテン。

    「パーン!!」
    逃げ惑う、さくランナーならぬサクラんだー。

    「パーン!!!」
    銃声が響くたび高く舞い上がる桜の花びら。

    「パーン!!!!」
    いつしか花びらはグリダニアを桃色の幻想で覆い、そして。



    昨日からずっと、花びら掃除です。まだ半分以上のこってるよお。




    かべしんぶん
    A.E.1568年7月10日 夏!

    もうすぐ夏休みです。今日も暑いー!

    夏休みの宿題で、かべしんぶんを作ることになりました。班ごとに分担を決めて、1年前の災害をテーマに記事にして、休み明けの式典の日に発表します。

    キャプテンはサクラ祭りを記事にしたいと言いましたが、全会一致で否決されました。裁判長が「関係ないし、くろれきしだから」といっしゅうしました。

    結局、私の班は半年前に騒ぎになった「空飛ぶ飛行船」を記事にすることになりました。他に案も出なかったけど、キャプテンはともかく裁判長まで乗り気なのが、スゴク気になる。この二人が組むと良くないことが起きそう。




    記事のメモ
    A.E.1568年9月3日 まだまだ暑い

    今日はかべしんぶんの日。
    休みの間、各自が作った資料を元に、記事に仕上げていきます。
    例によって私が文章のまとめ役。冒頭はこんな感じかな。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    「リムサを守った謎の空賊船に迫る!」

    まだ記憶に新しい先の大災厄では、エオルゼア諸国に著しい被害が出た。特にリムサの被害は甚大であったが、辛くもミズンマストの防衛に成功し、壊滅の危機を免れている。我々取材班が独自につかんだ情報によると、この防衛戦に関し、謎の空中戦艦が関与したらしい。当時の証言記録を元に、その時何が起こったのかを検証する!
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    ‥‥あとは以前の裁判記録を使ったり、キャプテンのイメージイラストが満載だったり、裁判長の冷静な総括が入ったり。最初は不謹慎かなと思ったけど、出来上がってみると結構楽しい記事になったかな?と思ってます。頑張ろう記事ばかりより、良いよね。

    式典は9/5です。出来上がったしんぶんは明日の夕方、式場の一角に張り出す事になっています。



    翌日、9/4の日記はとりとめのない内容でした。
    しかし、それからほぼ1か月、更新が途絶えます。
    式典の日、何かが起こったようです‥‥。
    (10)
    Last edited by lucia; 02-04-2013 at 11:39 PM.

  10. #10
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50



    A.E.1568年9月5日

    災害からちょうど1年。慰霊式典の朝。
    会場の一角が騒然としていました。

    「なに、これ‥‥」
    唖然とする私たちの班。式典に合わせて作成していた壁新聞のうち、私たちの班の新聞だけが破られ、奪われていたのです。

    「なによこれ!誰がやったのよ!私の活躍どーしてくれんのよ!」
    「活躍はしてなかったと思うよ。」

    これだけは言っとかないと。

    「これは意図的なものだな。」
    と裁判長。

    「‥‥え?どういうこと?」
    と私が聞き返すと、

    「単なる嫌がらせなら、僕たちの記事だけを狙い撃ちにはしない。それに、破っただけじゃなくて、記事を持ち去ってる。これは推測だけど、犯人は、僕たちの記事を公開されたくなかったんじゃないかな?」
    「理由なんてどうでもいいわよ!犯人見つけてとっちめてやらないと!」

    「まって、壁が光ってる‥‥?」

    新聞を張っていた壁が、わずかに光っているように見えました。

    「光ってなんかないわよ?」
    「まて、安易に触るんじゃないっ」

    制止は届かず、反射的に伸ばした手が、燐光に触れたとき。あたりは急に暗くなり、わずかに朝焼けが光る夜のとばりに支配されました。そこに立つのは、私一人。

    ‥‥じゃなくて、すぐ後ろに誰かいる!

    「良い記事だね。だけど、この記録は表に出しちゃダメなんだ。」

    振り向いた私に無造作に伸びる手。私は壁に張り付いたまま逃げ場を失い。捕まる!
    そう思った瞬間、手が私の体をすり抜け、そのまま新聞に届きました。

    ビリビリビリっ!

    紙が引き裂かれる音が背後に響く。

    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

    「‥‥おい、どうした?何を呆けてる?」
    「なにー、私の顔になんかついてる~?そんなに見つめちゃはずかし~♪」

    瞬きの間に、視線の先は二人の友達に変わっていました。

    「女の人。暗くて近すぎて一瞬でそれ以上はよく分からなかった。新聞、やぶった。」
    そこまで一気に吐き出して、壁を背にしてへたり込む。こ、こわかった‥‥。

    「何を見ました?」(‥‥まさか『過去視』ですか?)
    裁判長は、途中から小声になって、耳元にささやく。

    「?かこむぐgkぇlwl@pw!!」

    おうむ返しをしかけた私の口を強引にふさいで、広場の隅に拉致された。

    「ばかっ!声を出さない!」
    「ん゛ーーーーむ゛ーーーーーー!!」
    「そろそろ離してやらないと死ぬわよ?」
    「あ、これは失礼。で、何を見たんです?」

    「‥‥お花畑が見えた‥‥ケホッ」
    「その前。壁に手を伸ばした後。」

    どう言えば。信じられるのか、信じてもらえるのか。

    「さっきの、『過去視』って何のことさ?」

    キャプテンが割って入ります。
    裁判長は露骨に嫌な顔をしてキャプテンから目をそらしました。

    「なぜさっきのが聞こえてるんだ‥‥。とんだ地獄耳ですね。」
    「全部聞いて全部見て全部覚えるのが学年トップの秘訣よ♪」
    「体育会系地球外生物ですか、あなたは。」
    「うっさい(バコッ)」手が出る。頭を押さえながらも裁判長は、
    「その話は後で。そのまま『見たまま』で結構です。何を見ましたか?」

    そこまで言われて、やっと話す気になった私。
    世界が暗転したこと、真後ろに人が立っていたこと、手がすり抜けたこと。
    一連の出来事を説明しました。

    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

    「すごいですね。冒険者以外で過去視ができる方を初めて見まし(バコッ)」
    「せ・つ・め・い! 過・去・視・と・は・な・に・か?」

    笑顔がまぶしいキャプテンと、涙目で頭を抱える裁判長。

    「‥‥さっき見えたのは過去の出来事ってこと?」
    「ん、察しが良いね、その通り。書記長は、夜明け前の犯行現場を『過去視』で目撃したんでしょう。『過去を視る』能力。稀ですが、そのような能力者は存在します。」
    「えー!そんなこと出来るの!?私にもできるかな!」
    「キャプテンは未来に生きてるから無理じゃないですか?(バコッ)」
    「残念。なんでそんなこと知ってるの?どっかで会ったの?」

    繰り返す笑顔と涙目。しかし裁判長は毅然と切り返します。

    「教えられません。」
    「‥‥あ、そ。」
    「殴らないんですか?」
    「私は無駄なことはしない主義なの。」
    「‥‥」「‥‥」

    キャプテンはほんとにキャプテンになるかもしれません。
    でも、そんなことより。

    「えっと‥‥、もう1回、『視て』こようか?」
    「これまで過去視をしたことは?」
    「はじめて」
    「では、無理をしないほうがいいでしょう。新聞は残念ですが、記録が残っていれば何度だって作ることはできますから。」




    この時無理をしなかったことを後悔することになる。
    だって、教室に戻ったら、私の日記帳が無かったんだ。
    (11)
    Last edited by lucia; 02-04-2013 at 11:45 PM.

Page 1 of 8 1 2 3 ... LastLast