全体的には楽しめました。
やりたいことも理解できます。
ただ、尺が足りていない故か、途中から見過ごし難い粗が目立つな…と思います。
あと、全体的にすべてセリフや回想で説明しすぎな面も。
具体的にいくつか挙げると下記の通り。
・マムークの問題がスピード解決されすぎだし解決方法も雑なので納得感が薄い。
・バクージャジャ含むマムーク民、手のひらクルクル回しすぎ。
・バクージャジャの犯した罪について、事情や好き嫌いはともかく罰は必要だとウクラマト自身が語ってくれたにも関わらず、お咎めなしで勇連隊に入っている。
・継承戦後、ゾラージャに誰も触れない。家族なのに。
・ゾラージャの母親もグルージャの母親も謎なだけならまだしも、誰も触れない。
メインストーリーとは関係ないですが、エスティニアンのほうが自由な冒険者しているのも気になります。
黄金卿その他目的地はエメトセルクが遺した挑戦状みたいなもので、冒険を続けていくことはアルバートとの誓いなので、光の戦士がもう少し主体的に新天地に向かってほしいです。
最後に、どうしても納得しがたいポイントについて…
スフェーンにどういう印象を持たせるつもりだったのかが、全然わかりません。
終盤にかわいそうな王女だったアピールを連打してきますが、初対面の「どう考えてもそんな状況ではないのに、異様に馴れ馴れしい割に何も情報を語らない」時の印象が最悪過ぎて、終末のアーモロートの二番煎じやられても全然かわいそうという気持ちになれません。
騙すつもりで擦り寄るなら、30年生き別れた人間が再開を求めてやってきたということに配慮した態度をとるべきなので、ニコニコしながら「私が王様でーす!」は騙すつもりがあってもなくてもおかしいです。
ゾラージャ討伐後に優しい王では民を守れない云々と決意を語ってくれましたが、むしろ今までの自身の悪辣さに無自覚だったのかと、ビックリしてしまいました。
ゾラージャはトライヨラ襲撃して魂回収するみたいな協力をしていたにも関わらず、邪魔になったからとウクラマト一行を利用して消そうとしたり、襲撃が自分の目的のうちだったことを意図的に隠したり…。トライヨラと国交を結ぼうとか言っていたのもアレクサンドリアシステムに吸収しようって意味だったんじゃないのかとすら感じられます。
システムと記憶と感情が無理やり一つの方向性に向かうように仕向けられることでバグっていてどうしようもなくなっているという事情自体には納得するのですが、そうなると一つの人格として向き合うのが難しくなり、敵はシステムでしかないので、結果的にラストの対話が刺さりません。
システムから独立できたスフェーン人格が、永久人システムを否定する、みたいな結末だったらまだ本来のスフェーン女王とやらへの同情を感じられたかもしれません。