思えば新生で早々にイフリートを倒してからこっち、ヒカセンって「テンパードになることがない便利な暴力装置」だったと思うんですよね。いち冒険者にしては背負わされすぎというか。そこから2つも3つも国を救う戦いに従事(=紅蓮)して、解決したと思ったら「今度はこっちを救ってくれ」って異世界に呼ばれて(=漆黒)。最終的に宇宙規模で救う話(=暁月)になったわけですけど、私はいい加減、英雄英雄と持ち上げられて、アンタが勝たないとたくさん人が死ぬよ?嫌でしょ?っていう展開は懲り懲りだと思っていたので、今回の黄金の話は凄く良かった。特に前半。
王位継承戦は助っ人として呼ばれたので、ウクラマトの成長を横で見守る様は「アゼムだった人間」の在り方のように感じました。『旅先で出会った人たちとの出会いが大好きだった』と語ったのってヴェーネス様じゃなかったっけ?
普段アリゼーが強引に進むキャラであまり好きなタイプではないのですが、今回の話に限ってはウクラマトのお姉さんキャラというか、導く立場になっていたのも成長したなあと感じました。
以下ネタバレなので折りたたみますが、
前半部分では、ウクラマト一人ではそもそもアルパカを捕まえることもできなかっただろうし、ハヌハヌ族のところで祭りを復活させようぜ!って言いだしたときは「おいおい、それより解決すべき問題が...」と思った自分ですが、多分あそこで「水質調査を進めるか、祭りを復活させるか」という選択肢が出ていれば私は迷わず前者を選ぶだろうwでもそうしなかったのは私が助っ人だった(当事者ではない)から。意思決定を促したとして、結果ウクラマトが負けたら責任負えないしね。問題解決も「災害があって不作があって、それどころじゃないから言い出せないけど祈りとしての部族の祭りがしたかった」っていうハヌハヌ族の心を(偶然とはいえ)救ったのではないかと思います。
ウクラマトは各地を巡ってそれこそ「知る」ことで、それがどんどん偶然ではなく自覚的にそれが出来るようになっていく。マムークで「自分が勝ったら双血の教えを捨てさせる」って言ったのがその辺で、多少強引にそうしなければあの地域の人たちは、バクージャジャはずっと双頭の呪いに蝕まれていたんじゃないかなと。
ゾラージャに関して、最後の戦いで「俺は奇跡の子などではない!」に驚きました。「俺は奇跡の子だ!」じゃないんだと。この一言こそがゾラージャなのかなと。褒められても、勝っても、父を殺しても、ゾラージャさんは自分で自分を認めることができないからずっと苦しむんだよね。
結果的に黄金郷を巡る新大陸の人たちを、文化を、土地を「見た」からエメトセルクに託された宿題はちょっとだけ進んだはず!