すでに運営側からもコミュニティ側からも散々そのリスクを指摘されているにも関わらず、最近も外部ツールを巡るセキュリティ事案が起きてしまいましたが、コミュニティの反応を見ていると、未だにそのリスクが十分に周知されているとは言い難いです。そのような状況を鑑みて、このタイミングで改めて運営側からの告知をお願いしたいと思い、投稿させていただきます。
フォーラムをご覧の皆さんにも簡単に経緯をご説明しますと、最近、FF14 クライアントの画面表示を改造するとある「有名」な外部ツールの作者が、他の外部ツール開発者が制作した競合する別のアプリの存在に腹を立て、その活動を「罰する」ために、そのアプリの存在を検知すると、利用者のパソコンを許可なくシャットダウンするようなマルウェアを混入してリリースし大騒ぎになった、という事案があったようです(念のために補足しますが、私自身はいかなる外部ツールも使ったことはありません。以上は公開情報を収集して知ったものです)。
この事案は、その開発者の幼児性や技術者倫理の欠如を広く世に示しましたが、そもそも外部ツールというものが、このような稚拙な自力救済が横行する法の外側(アングラ)の産物である、ということが全く理解されていない点に大きな問題があるように思います。
こうした外部ツールの開発者は、法や倫理を尊重するとは限りません。そんな大げさな、と思う方々にはこの件が何よりの実例でしょう。また、こうした人気のサードパーティツールの権利を悪意ある業者が買い取り、ある日突然、オンラインアップデートでマルウェアに変貌するといったことも日常茶飯事です。
よく、外部ツールを導入する方が「これは自己責任だから」と仰るのを目にしますが、「責任を取る」という行為は、そのリスクを具体的に判断し、それに伴う不測の事態に対応する能力を伴って初めて可能になるものです。マルウェアの具体的な実態やリスクがあやふやなのに「自己責任だ」と安易な行動を取るのは、目隠しで幹線道路を渡るのと変わりませんし、それを何も分かっていない他人に勧めるのは勧める側にも相応の責任があります。
具体的なリスクの例を指摘しておきます:
- 外部ツールにパスワードを記録され、大切な FF14 アカウントを乗っ取られる
- クレジットカード番号やオンラインバンキングの暗証を覗き見られ、金銭を盗まれる
- 仮想通貨のマイニングツールを密かに導入されてグラフィックボードが破損したり、高額な電気代を請求される
- 外部ツールを導入したパソコンが別のサイバー犯罪の踏み台にされ、その犯罪の容疑者として検挙されたり、逮捕拘留された結果として職を失う(残念ながら、日本の警察はこの手の冤罪を見分ける能力がない場合があります)
また、上記の外部ツールはなんやかんやあった結果、マルウェア配布の咎で配信元のホスティングサイトから BAN されてアプリの提供ができない状態に追い込まれましたが、ここ数日「その外部ツールからマルウェアや不都合を取り除いたバージョンだ」と称して、開発者公式ではない出所の不明な実行ファイルが配布されているようです。そもそも外部ツールの導入自体が危険であるという以上に、このような出所不明のバイナリは高確率でマルウェアが仕込まれています。「便利だから」という安易な理由で、このようなものを使ったり他人に勧めることは絶対に避けてください。
運営側の方々は、上記のようなことは十分にご承知かと思うのですが、SNS 等で外部ツール利用者の皆さんの声を見ていると、最悪の場合、自分が無自覚に犯罪の片棒を担ぐことにもなりかねない、ということが十分に伝わっていないように思います。私自身もソフトウェア技術の専門家なので外部ツールを技術的に取り締まることの困難さは知っておりますし、それを踏まえて機能拡充によって外部ツールの必要性を減らす、という方針には共感しておりますが、「ヒカセンが〇〇罪で逮捕!」というニュースが大手メディアで報道される事態を少しでも避けるためにも、改めて運営側からメッセージを発信していただければ幸いです。
追記:
私が一番問題だと思うのは、リスクに関する知識のない外部ツール利用者が、他のプレイヤーを次々と勧誘する点です。今回、SNS 上でその現場を(洋の東西を問わず)とてもたくさん目撃しました。これは「自己責任だからそいつが勝手に死ねばいい」という話ではなく、どの認識がマジョリティになるかを巡る情報の物量戦だと思います。その意味で、公式にメッセージを出していただける意義は大きいと考えています。
追記2:
特に申し上げるまでもないと思ったので書いていなかったのですが、犯罪には必ず被害者がいるという点と、その矛先が FF14 サービスに向かう(外部ツール利用者のパソコンが DDoS の端末にされるとか)可能性もある、という点はご注意いただければと。