
Originally Posted by
Nekohebi
略
ついでなので全文転載しておきましょうか。もうβフォーラム見れないですし
ネット上には残ってるんですが今から見つけ出すのは難しいかもしれない。
2013年のテストの最初の頃の長文で、雑魚のくだりは最初の方にあります。
他にも設計意図を考える上で役に立ちそうなことは結構書いてある気がしますが、
逆に今読むとこう言ってたけど実装された仕様やその結果はだいぶ違うなと思う事も多いですね。
6000文字ちょっとあるので閉じておきます。興味ある人だけ読む感じでいいと思います。
プロデューサ/ディレクタの吉田です。
バトルシステムに関して、多数のフィードバックありがとうございます! そして、F.A.T.E.の高頻度多重発生により重度のラグにて本当にご迷惑をおかけしています。 オートアタックが発動しない、座標がズレるなどのフィードバックについては、 大部分がこの異常なラグによるものですので、今後のテストにて再度ご確認頂ければと思います。
さて、非常に多岐にわたりますが、バトルシステムについてポストさせて頂きます。 現行フォーラム以来久々の超長文ですが、お時間のあるときにでもご確認ください。 また可能であれば、バトルシステムのフィードバックの際には、下記の内容を頭の片隅にでも、 置いていただけると大変助かります!
■新生FFXIVのバトルとコンテンツコンセプト■
コンセプトはインタビューなどでお話する分には良いのですが、フィードバックへのレスとなると、 ちょっと趣旨が異なる気はしますが、目指しているコンセプトが不明のままだと、 ディスカッションに無駄が出ると思いますので、記載しておきます。 (あくまで前提のコンセプトですので、その点はお間違えのないようお願いします)
■雑魚モンスターとコンテンツ■
新生FFXIVでは「雑魚モンスターとの1バトル」ではなく、「コンテンツ」を楽しんでいただこうと思っています。 雑魚モンスターは、あくまで雑魚モンスターであって、戦闘毎に「本気で戦う必要がない」ように意図的に設計しています。 その代わりコンテンツをクリアするとき、コンテンツのボスと戦うときは、 「本気で全力で戦ってもらう」ように、大きくメリハリをつけています。
■FFXIとFFXIV■
また、約10年前にFFXIが当時のコンソールゲーマーにとって「はじめてのMMORPG」であったように、 新生FFXIVは「現在のコンソールゲーマー」にとって「はじめてのMMORPG」になってほしいと考えています。 これにより、バトルについては特に大きく3点意識していることがあります。
・ストーリィ上、低レベル帯と想定している「Lv15までは一切パーティを組まなくても良い」こと
・ただでさえ覚えることが多すぎるMMORPGが「初心者にとってパニックにならない」こと
・ゆっくりでも良いので「長く続けてもらうことが容易い基幹設計」であること
MMORPGは数あるゲームジャンルの中でも屈指の「とっつき難さ」を持っています。 これはあまりにも覚えることが多く、そもそも他のプレイヤーが同じ世界に混在する以上、 今なお、どうにも解消しきれない問題です(だからこそ、MMORPGは面白いとも言えます)。
■とっつき難さと継続性と単純化■
また、今回FFXIVの「新生」にあたって吉田は、とっつき難さをオブラートに包むために、 「アクション性を高めたり」「誰も見たことの無いシステム」を「無理に模索するな」と指示をしています。 はっきりと書けば、
・ノンターゲットにはしないでほしい
・雑魚戦闘でイチイチ避けたり逃げたりしなくていい
とこの2点については、明確に指示をしています。 答えは明確で「数時間~数十時間程度」のプレイのうちは良いが 「年単位のプレイ」となると「プレイするのがしんどいから」です。
MMORPGのプレイヤー層は、第一世代のMMORPGに比べ低年齢化したとはいえ、 今でも他のゲームジャンルに比べれば、課金もあるため年齢層がかなり高い傾向にあります。 会社や学校から帰ってきて、毎日短い時間でもログインしてプレイする際に、 延々と疲れるアクションを続けたり、雑魚モンスターと毎回駆け引きをするのは、 今のMMORPG市場では無理だと考えています。
また、このターゲットシステムやアクションの概念は、まさしく「基幹設計」になってしまうので、 以降制作されたりアップデートされるコンテンツは、すべてこの基幹設計に縛られることになります。
1.MMORPGはパーティプレイ前提のゲームである
2.アクション要素が多ければコンテンツアタックの際、他プレイヤーにそれを強要することになる
3.ノンターゲット/Area Effect(広範囲)スキルを「多用」する場合にはどうしても大味になる
(ギリギリのキワで戦うようなダンジョン/コンテンツのバランスが甘くなりがち)
[1]については、今でもMMORPG業界で延々とテーマになりますが、吉田はパーティプレイこそが、 MMORPGの最大の面白さだと思っているので、序盤はパーティの「ストレスになる部分」を極力排除し、 さらに中盤から後半にかけても、コンテンツファインダーで「慣れ」を作るように徹底しています。 最終的に「MMORPGは人間関係に疲れるよね」は、もうどうにもならないだろう、が結論なのです。 すべてをソロでプレイできるようにするのでは、プレイを持続して貰えないですし、 MMORPGを作る意味も無くなってしまうと「最終的には」考えています(極論を言えば、のお話です)。 ですので、さらに極論を言えば、やはり「プレイする人を選んでしまう」のが、MMORPGの魅力でもあり、 大きな問題点でもあり、これは表裏一体であると考えています。
しかし、これで諦めていては、MMORPGである新生FFXIVのプロデューサ兼ディレクタとして、 失格になってしまうので、新規プレイヤーの獲得こそが、必要不可欠だとも思っています。
そこで出てくるのが[2]と[3]で、今の世の中溢れかえるエンターテイメントコンテンツ、モバイルコンテンツ、 HDゲームコンテンツの中で、新生FFXIVを触って、かつある程度奥へ進んでもらうためには、 特に序盤は「単純化」が必要不可欠だと考えています。 もちろん、[2]と[3]は「初動のキャッチーさ」という意味では、これまた表裏一体です。 ですが前述したように、一人でも多くの新規プレイヤーを獲得していきたい反面、 MMORPGは最終的に誰もが長期に渡ってプレイできるゲームではありません。 これだけ選択肢が多い世の中では、理想論を振りかざしても意味がないと思っています。 (最大限新規のプレイヤーの皆さんに訴求した上で、です。しつこいですが繰り返し)
さらに[3]はバランスの良いコンテンツ、プレイしごたえのあるコンテンツ、ルールが理解しやすく、 パーティで意思の疎通が取りやすいコンテンツを量産する上でとても重要です。 特にルールが単純で、アクション性が低く、意思の疎通が取りやすい、はとても大切です。 (WS連打でいいという話ではないです)
当然吉田もMMORPGのヘビーゲーマーですので、終盤からエンドコンテンツにかけては、 コアゲームファンが唸っていただくようなコンテンツ(旧FFXIVを思い出してください)、また、 それ以上に歯ごたえのあるものも用意しています。 その点は逆に旧FFXIVの終盤を思い出して、ご安心頂ければと思います。
ですので、超ざっくり言えば、新生FFXIVのゲームデザイン比重は 「長期安定プレイとわかりやすさ >>> キャッチーさ」になっています。 (かなりざっくり論ですので、その点はご容赦ください)
■いろいろリサーチもしています■
タイトルは控えますが、基本的に吉田は、グローバル運営されている大規模MMORPGの プレイヤーの「リテンション(継続率/継続性)」をかなりしつこく追っています。 確かに公表されるセルイン(出荷数)やセルスルー(売れた本数)に目が行きがちですが、 大切なのは結局のところ継続率(Free to Playの場合また微妙に違いますが)なのが MMORPGの難しいところです。この辺りの「結果」も常に見ての判断だと思って頂けると幸いです。 もちろん、吉田自身がプレイヤーですので、遊んでみて、もしくはそのタイトルのコアプレイヤーへの 聞き取りも含めて、というか、それがもっとも大きいですね。
これが新生FFXIVのもっとも大きく、かつ根本的なコンセプトです。 上記は、バトルだけでなく、すべての設計の基礎になっている考え方です。 F.A.T.E.にイチイチ長文の説明が入っていなかったり、群れをなぎ倒すだけのものから、NMとの戦闘、 手の込んだ大規模なものまで、バラエティに富んでいるのもそうしたことが要因です。 (F.A.T.E.についても別途ポスト予定です)
では、大きなポイントについて書きましたので、以下バトルに関連する細かいポイントを。
■GCDと考える時間■
やはりバトルでも「単純化と長期プレイ」は大きなテーマで、新生FFXIVの「特に序盤」では MMORPGに慣れていらっしゃる方だと「だるい」「長い」「メリハリが無い」と感じると思います。 ですがこれは「考えるための時間を確保する」ために入れているシステムでもあります。
ラグやβプレイ時間がまだ短く、ご迷惑をおかけしていますが、コンボやWS/アクションのローテーション、 敵の行動を邪魔するDebuff/CCなどアクションは、レベルが上がれば徐々に修得していくように配置しています。 そうなってくると、2.5秒の基礎GCDはかなり「あっという間」ですので、 引き続きテストをお願いできればと思います。
■アクションのローテーション習得と調整■
ただし、ゆっくりすぎて、慣れているプレイヤーが、物足りない期間が長すぎるのもNGとは思いますので、 βテストでの皆さんのフィードバックやログの状況を見ながら、もう少し低レベルから、 考えてローテーションさせるアクションを持つようにするなど、調整を行っていきます。
特にコンボを持たない弓術士などのアクションが、ローテーション的に物足りなく、 特にボス1体とだけ戦うようなシチュエーションでは顕著かもしれません。 このような部分は、皆さんのフィードバックを拝見しながら、アクションの調整・検討を 引き続き行っていくつもりです。
■オートアタックについて■
意味がほとんどないのではないか?と議論いただいているオートアタック(AA)ですが、 新生FFXIVのバトルにおいては、ベースのダメージ源である以外意味を持ちません。 このダメージリソースとしてのAAのタイミングと間隔は、フィードバックを受け、 αテスト終了後からβテスト後半に向け、大きく修正を続けています (コストが大きく、まだ公開ワールドには適用していません)。 ですが、引き続きAAはTPを回復させるなどの役目は持っていないことに変わりはありません。
Lv15ダンジョンのタムタラでは、レベルデザイン上まだ感じにくいかもしれませんが、 トトラクや屋敷などLv25-35付近のダンジョンでは、WS全開のローテーションでは、 TPが枯渇の枯渇や、剣術士がMP切れを起こします。 このあたりから「考えないと効率が悪い、もしくは死ぬ」シチュエーションが、かなり発生します。 AAはそんなMPやTPが枯渇した中でも、常に動作するダメージ源とすべく調整していますので、 引き続きよろしくお願いします。
■ポーカーに例えるなら■
これをトランプのゲームの一種である「ポーカー」に例えると……
・何も出来ずに待っている時間は短く
・ただし考えるための時間は確保する
・最初から手札が多くて何をすれば良いのか分からないようにはしない
・レベルアップ+ジョブで徐々に手札=上手く戦える仕組みを提供する
・WS単体は、手札であり、役ではなく、役はコンボやProcになるように
・最終的には、役を状況に応じて切り替えて戦う(考える時間は最低限残す)
・β3での導入を予定しているリミットブレイクはパーティで持つ役になる
・AAは手札すら使えなくても攻撃できる手段or1撃は弱くても常に攻撃できる手札
吉田とバトルチームが、それこそ2年にも渡って詰めてきた内容をまとめたものです。 苦肉の策でポーカーに例えてみましたが、なんとかお伝えできていれば幸いです……。
■PvP向けのアクション■
新生バトルアクション考察の際、当初はPvP向けのアクションも、レベルが上がるにつれ、 PvE向けのアクションと一緒に、自動的に修得していく予定でした。 が、それだとPvEしかプレイされない方にとって、アクション枠を削り取ることになりますし、 覚えることが多くなりすぎると判断して実装前に仕様変更しました。 ですので、今見えているアクションだけがPvPアクションではありません。 PvP専用アクションは、PvPコンテンツ内で獲得でき、PvEアクションと入れ替えして使うなど、 プレイヤーの皆さんが、戦う前に「工夫する余地」も含みつつ現在も作成/調整中です。
■常に相反する要素■
まとめになります。
ここまで長文にお付き合いくださり、ありがとうございます。
すべてに目を通された方は既にお気づきかと思いますが、大きく3つのポイントで、 MMORPGは、矛盾とも言うべき要素を抱えていることがおわかり頂けたかと思います。
ソロプレイの方が気楽で良いが、パーティやコミュニティがないとプレイ継続にならない。
シンプルに作れば単純化され、それは新鮮味に欠けるが、わかりやすくはなる。
複雑やアクション寄りにデザインすればスリリングにはなるが、操作も理解も難易度が上がってしまう。
しかもこの3つはどれも絡み合って、お互いに影響しているので、切り離せません。
(Free to Playの議論もこれが前提にあるべきなのですが、今は触れません。)
つまり最後はその3点それぞれの「バランス」と「デザイン」、3点間の「バランス」と「デザイン」になってしまいます。 どうか「ゼロ」「イチ」とか「好き」「嫌い」だけの議論にならないよう、我々も気をつけますし、 プレイヤーの皆さん同士も、どうぞよろしくお願いいたします。 (本来これは開発の仕事ですので、あくまで皆さんは「楽しく」が前提です。 すみません、ラグは本当にちゃんと無くしますので……)
そのバランスが大切だからこそ、皆さんから寄せられるフィードバックがとても貴重です。 バトルに関するこの文章を書くにあたって、バトルシステムのスレッドに頂いた、 すべてのフィードバックにしっかり目を通させていただきました。 フィードバックとともに、マニュアル記述箇所の告知や、αテスト時の回答引用など、 フォローをしてくださった皆さんも、本当にありがとうございます。
まだ、たった1日開けただけのβテストで、世界中からこんなにもたくさんのフィードバックや、 励ましのコメントをいただけるのは、FFXIVだけだと胸を張って言えます。
引き続き、どうぞよろしくお願いします!