先のポストの補足説明をさせていただきます。
詳しい状況や開発の判断基準を知りたい方にお読みいただく想定なので、技術的な話が含まれます。
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今回の改修で解消したかった課題
リキャストの終了間際の表示と、リキャスト完了して実行可能になっている時の
表示が似ているため、リキャスト時間が長いアクションの場合に
「使えると思ったら使えなかった!」 と誤認する事がありました。
※かなり前(新生直後)からフォーラムにご意見をいただいていました。
高難易度コンテンツで秒単位の視認で死活がわかれる時には大きなストレスになるため、
解消したい課題になっていました。
改修案
a)アクションが使える時のアイコン表現をかえる
もうすぐアクションが使えるようになる、リキャスト終了間際のアイコン表現を、
ひと目でわかるデザインに変更する。
b)リキャスト残り時間を数字で表示する
※既存アイコンの表示要素は増やしてはいけないため、(表示負荷対策)
従来、消費コストの表示に用いていたテキスト表示パーツを転用しています。
テスターからアイコン中央に数字を表示して欲しいという意見がありましたが、
別パーツを配置するか、状況を判定して表示位置を変更する処理を追加しなければならず、
負荷が増えてしまうためので不採用にしています。
a)のデザイン変更に関する制約事項現状、常時表示するUI(HUD)のテクスチャ画像の容量を増やせません。
※最低動作保証環境のビデオメモリの容量制約
HUDのテクスチャは、メモリ状態の安定性を重視するため読み替えしない設計となっているため、
リキャスト表現のアニメーションパターンを2種類用意して選択、という対応ができません。
読み替えできるように基本の設計に変更すると、プログラム工数とQA工数が非常に大きく、
以後の運用拡張で継続的に関連バグが発生する危険性が高くなります。
※そもそも、その危険性を考慮してHUDテクスチャの読み替えを設計から除外しています。
UIのシステム設計と実装を担当できるエンジニア(希少)が運用保守に時間を取られてしまう設計は、
長期的にはサービスの提供量と品質が低下し、結果としてプレイヤーの方の不利益になります。
画面描画の負荷をあげないため、リキャスト表現は1枚の画像をパターンアニメーションさせる構造のまま
デザインを変更する必要があります。(容量が大きいが、表示負荷が低い方法をとっている)
これら様々な要因を考慮し、従来のデザインか、改訂したデザインか、
どちらかを選択しなければなりませんでした。
デザイン変更の開発検証大きく4回のデザイン調整と、テストプレイの集計を取りました。
※細かいデザインの調整はその数倍行っています。
従来のデザイン(旧)と、変更するデザイン(新)で、どちらが良いか、その理由や、
1週間ほど触ったあとの感想の変化も含めて集計しています。
テストプレイとはいっても、内容は普通に1週間ほどプレイしてもらうこと、です。
1回目 セクション内と一部の開発メンバーで修正版をプレイ評価
2回目 QAテスト 旧:新 = 3:4
3回目 QAテスト 旧:新 = 1:2
4回目 QAテスト 旧:新 = 1:9 採用版
※テスターは約50人。公開版プレイヤー、非プレイヤー双方の意見を取る。
UI担当としての見解今回公開するデザインは、内部テストで9割の支持を受けたものですが、今後について
逆の言い方をすれば1割の反対があったデザインです。
1万人のプレイヤーのうち、1000人の方が反対する、ということです。
コトナカレ主義的な判断をするなら、
「改修を検討した事も含めて、告知せず、何もせず、今までのままにしておく」のが、
最も無難で安全です。(短期的な視野において、ですが。)
実際に、リキャストの残り時間表示を数字で確認できるならば、
リキャストアニメーションの表現は従来のまま変更しなくても良いのでは、という意見もありましたし、
私も3回めのテスト(3人に1人が反対していた)までは、今回は見送りかな、と考えていました。
ですが、調整を繰り返した結果、9割が「良い」と思うデザインに至りました。
※詳細は省きますが、継続評価によるバイアスも考慮しています。
かなり悩みましたが、
「最初は違和感が強かったが、1週間で慣れて今のほうが良いと思うようになった」
という意見が非常に多かった事もあり、変更を決断しました。
※テスターの方の過半数は、プライベートのプレイヤーなので、
テスト中の新しいリキャストと、従来のリキャストを交互にプレイしての意見です。
今回の改修は、UIの1項目ではありますが、
今後のUI改修の大きな方針を図る覚悟をもって進めました。
それは、
「1割の反対があるなら、賛否双方のニーズを満たせない限り改修すべきではない」
という運用方針にするのか、多くのメリットを取って変更していくか、です。
今回、リキャスト表現の変更という案件で、「変更していく」方針を実施しました。
※「みんなが良いと思う物を作ろうと思わないのか!」というツッコミもあると思いますが、
そもそも、そういう心構えで臨まないと過半数が良いと思うモノにも届かないものです。;_;今後も本件にかぎらず、どうしても「選択方式」にできない改修案件が出てくると思います。
覚悟をもってリリースしていますが、だからこそ様々な視点のご意見を頂きたいと思っています。
今回の皆さんのご意見は、単に「前のが良かった」だけではなく、
どのような部分が気になっているのか書き添えて頂いているので、非常に参考になります。
ありがとうございます!
頂いているご意見の中では、円の周囲の白が強く、
アクションのアイコン図案の識別が難しいというご意見が多いようです。
※テスターからも出ていた意見です。
これらのご意見をふまえて、1、2割程、円周の白を弱め、
ホットバー全体のコントラストをトーンダウンさせるといった、
アクションアイコン側の図案の視認性をもうすこし確保できないか調整検討します。
選択式はどうしても無理なのか?結論からいうと、長期戦になりますが不可能ではありません。
現在のUIの中で、メモリに常に載せなければならない画像と、
表示するときにだけ読みこめば良い画像の2種類がありますが、
リキャスト表現は「常にメモリに載せなければならない画像」です。
このタイプのUI画像はかなりの数になりますが、
それらを個々に整理や最適化をかけて余白をつくり、
2種類のリキャスト画像を載せられる隙間を捻出できれば、
選択式にできると思います。
とはいえ、既存のデータを整理してパズルのように詰め直し、
それらの表示が破綻していないか、様々なサイズで表示チェックが必要です。
ボクサーの減量のような地道な作業になりますし、やってみないとわからない、
というのが正直なところです。
最適化作業は、皆さんから見た変化はまったく無いので、
パッチノートには記載されませんが継続的におこなっています。
いずれは、リキャスト画像1セット分の空きを確保できるかもしれません。
いまお伝えできる事は以上となります。
引き続き、みなさんのご意見をお待ちしております!