こんばんは。プロデューサ/ディレクタの吉田です。

相当熱い議論ありがとうございます。
改めて占有の改修とPLの是非について、吉田の考えた方針を記載しておきます。

最初にお断りしておきますが、この議論は「万人が100%満足できる方向」へは落ち着かないと思います。
また、物凄い長文のため、読むのも相当大変だと思います^^;
(が、順序立てて書く必要があると思いましたので、端折ることは止めました。
できるだけ、最後までお読み頂けると助かります)


「かなり極端な例」ですが、これはスタンドアローンのオフラインゲームでも似たようなテーマがあり、
ツールによってアイテム全所持/レベルカンストなどデータ改竄を行ってでも
「ゲームをクリアすることを楽しめる」人がいます。
一方、人によってそれは「なんて勿体ないことしてるんだ!ゲーム購入する意味がわからん!」と
思う人もいることから、とても難しい問題です。


MMOの場合、早く皆と一緒に遊びたいから、助けて貰えるなら助けて欲しい。
また、後発のプレイヤーと一緒に遊びたい、ゲームを覚えるのはそれからでもいい、
だからレベリングを手伝ってあげるよ、と思い、ある程度のPLやレベル格差を
無理に封殺するような「強烈な縛りはやめて欲しい」と考える人がいます。

逆に「キャラの成長と共にプレイヤーも成長する」「他人がPLしていると育成そのものが
無価値に感じられる」「PLありきのゲームになってしまいそう」
「PLのために適正狩り場が荒れる」と思う人もいます。

これはRMTや育成代行の業者と切り離したとしても、これくらいの温度差は出てしまいます。
オンラインゲームの場合、この両者が同居することになるため、議論の対象になりますが、
価値観とライフサイクルに起因するため、最後までひとつの答えに到達することはありません。


そこで、吉田が今回の仕様に到達した経緯を以下に記載します。

■前提として占有の撤廃

まず「占有」は、これからのFFXIVにとって厄介な仕様になると判断して撤回を決めました。
複数PTを有するような大規模PvEや、複数の勢力が入り乱れるようなPvPでは、
1 : 1の関係で占有が機能してしまう仕様がとても邪魔になります。
また、今後のコンテンツは、できるだけ「インスタンス化」することも前提にあります。
「他者に邪魔されないように占有する」という概念が、どんどん減っていくことになるので、
それを考えても必要ないだろう、と。

■リワード権利の確保

次に解決すべきは、リワード(報酬)の獲得権利の判断です。
複数のPT(ソロ含む)が1つのモンスターにアタックした場合、
修錬値(経験値)やモンスターがドロップするアイテム、
クエストのフラグなどを誰に渡すべきか、という権利の仕様です。

第一世代のMMOは「そのモンスターにもっともダメージを入れたパーティ」が
権利を獲得することができました。つまり「最悪は奪い合いもOK」だったわけです。
これを回避したのがFFXIの占有。
吉田は「最初にアタックした人、もしくはPT」という仕様で、と指示しました。
わかりやすいからです。これは、早い者勝ちに繋がりますが、でもそれは、
これまでのシステムでも同じです。また、コンテンツをインスタンス化していくので、
パブリックフィールドのNMくらいが、この対象になるだろうと。
システムの根幹に「奪い合い」を入れるくらいなら、NMはコンテンツホールドの仕組みを使って、
第三者のヘルプを不能にするという、個別対応の方が、まだ良いかなと思っています。
ですので、総合的に考えて「ファーストアタック制」で権利仕様としました。

■リワードの分配と補正

その次に考えたのが、今回の議論の中心である「修錬値」です。
このまま単純な仕様にすると、確かにPLが容易になります。

わかりやすくソロで例を挙げます(レベル格差PTによるPLは例として複雑なので)。
まずは、レベル1のキャラクタでレベル50のモンスターにアタック。
傍に控えるレベル50キャラで、襲ってきたレベル50のモンスターをKILLすれば、
確かに、修錬値は、レベル1のキャラクタに入ってしまいます。

ただし、レベル1のキャラとレベル50のモンスターは差が大きすぎるため、
単純に取得の際の「格上モンスター討伐ボーナス」が逆に大幅にブレーキをかけ、
レベル1のキャラクタが得られる修錬値には、かなりの補正がかかるようにします。
ですので、この極端な例は、あまり参考にはなりません。

では、レベル1のキャラクタがレベル3のモンスターを攻撃し、
その横にいるレベル50のキャラクタが、レベル3のモンスターを倒した場合。
これはレベル1のキャラクタから見れば、レベル3のモンスターはある程度適切です。
よって、取得修錬値に補正はかかりません。

ここまでが基本で、これ以降の処理がPLかどうかの分岐点になります。

■PLか否かの判断

ソロで同格のモンスターを倒す場合、およそ30秒~40秒、というのを
今後のバトルバランスの時間スタンスと考えています。
よって、レベル1のキャラの横で、レベル3のモンスターをレベル50のキャラが倒した場合、
おおよそ4-5秒くらいで済むでしょうか。修錬値も満額入ります。
レベル1のキャラから見れば、突っ立ってるだけ、確かに「パワーレベリング」です。
ただし、このレベル1のキャラにつき合っている、レベル50のプレイヤーの手間=時間も
同時に消費しています。得られる極僅かな修錬値のために、レベル50のプレイヤーは、
プレイしたいエンドコンテンツも我慢して、友達や新人さんの育成に、
自分の時間を消費していることになります。

このとき、レベル1のキャラクタが、レベル50のキャラクタに「助けて貰った」ことを
どう捉えるか、です。

■PLの封殺について

上記のような行為が、善意の行動か、RMTや育成代行業者の行動かは、
複数アカウントを使用される一般プレイヤーもいることから、単純には判断できません。

ログを追いかければ、最終的に業者は特定できるので、締め出しは行いますが、
当然、その行為を「未然に完璧に」防ぐことはかなり難しいです。
超難解で手の込んだ仕様を入れれば可能ではありますが、
大多数の通常プレイしてくださる皆さんにとって、それは苦痛でしかありません。

・モンスターに対して与えたダメージ率で修錬値を分配
・ヘイトの値で修錬値を分配


PLを「できるだけしにくくする」ために、上記のような第一世代のMMOが採用してきた仕様も
すぐに想定できますが、これもこれで、修錬値を力づくで奪い合いになったり、
ダメージを稼げないクラスに不利益に働いたり、時間が無制限にある業者のBoTが、
手当たり次第にモンスターを攻撃して、EXPをスティールすることもあります。
(繰り返しますが、業者には対応します。ですが、業者と断定するためには、
多少なりとも時間が必要です。間違って正規プレイヤーをBANすることが、
あってはならないからです)

ただ、上記にも例を挙げた、BoTによるEXPスティールだけは、避けたいと考えました。
百害あって一利なしです。

■結論として

全部を俯瞰してみて、どちらにもメリットもデメリットもあると理解した上で、
最終的には…

現世代のMMORPGにおいて、

「早く皆と一緒に遊びたいから、助けて貰えるなら助けて欲しい。
また、後発の友達と一緒に遊びたい、友達がゲームを覚えるのはそれからでもいい。
だから、自分(たち)の時間を犠牲にしてでも、友達を助けてあげたい」


は、なんとかしてあげたいな、と考えました。
エンドコンテンツとして、相当高難易度のものを実装していく前提なので、
やはりそれを体験して貰うまで、手助けがあるなら「ある程度楽をしても」いいのかなと。
少なくとも「それを楽にしてくれる仲間」がいるということだと思うので。

自身のレベルと倒したモンスターのレベルの相対による、
獲得修錬値の補正は、これまでと同様に存在しますし、今回に合わせて調整もします。
ですので、無茶苦茶極端なことは発生しないように、留意はしていきます。
極端な抜け道が発見された場合には、その調整用の修正も即座に行うつもりです。

吉田はこの「助けて貰うかどうか」と「真面目にやってるかどうか」とは別問題だと思うのです。

最後に個人として。吉田は性格的に「レベル40くらいまでは、色々経験して自力で頑張れ!
その方が後で面白いと感じられるから!」という派ですが、
「レベル30までは頑張ったけど、これ以上、時間が割けないよぅ!」と泣きつかれたら、
「よーし、じゃあ今日は手伝っちゃうぞー!」という人間だったりします

自分が遊んで楽しいMMOは、友達にも楽しんで貰いたいですし、
「辛くて続けられない」というシチュエーションがあれば、助けてあげて、
最終的に、仲良く一緒に遊べたら、それが一番だと思っています。