Page 4 of 8 FirstFirst ... 2 3 4 5 6 ... LastLast
Results 31 to 40 of 76
  1. #31
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50



    本日、霊災の日に何が起こったのかを、過去視の力を用いて調査しました。私が見た「真実」を、主観のまま報告します。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・

    その光景は、1年前に見たものと同じ、絶望の風景。違うのは、私の傍らでルイゾワおじいさんが戦っていたことです。

    空に踊るバハムート。なすすべもなく見上げる冒険者たち。この場所はちょうど高台で、リムサやウルダハの様子がかすかに見えます。竜の速度は尋常ではなく、あらゆる場所を薙ぎ払っているように見えました。

    その怒りが、ルイゾワおじいさんに向けられる。12柱召喚!私も祈っていました。世界を救って!‥‥結果は知ってたのに。そう、封印は失敗します。

    そしてバハムートが怒りの咆哮を上げたとき、おじいさんはさらに杖をふるいました。おじいさんが唱えた呪文に、一柱の神が答えます。

    それは、アルジク。重力と時間をつかさどる帝王。

    お姉ちゃんも、ほかの冒険者たちも、次々と燐光に包まれ、そして消えました。
    消えていく‥‥一人ひとり、そして引き換えに光の柱を残して。

    「‥‥時を‥‥渡る‥‥かがり火だったんだ‥‥。」

    光が現在で途切れずに未来まで伸びていたのは、時空転送魔法を使って遥か未来まで転移させたから。そう、光の柱は、未来へと延びるアニマの輝きが集まったものでした。だから、私にしか見えなかった。山と森の果て、グリダニアから見ることができた。

    柱は垂直にそびえたち、天頂を消失点にして無数に増えていきます。もはや世界は、バハムートが放つ禍々しい光に包まれました。でも、光柱はかき消されない。

    だってそれは、心に直接届く光で。
    新生の未来へ届ける希望で。
    それはまるで‥‥

    唐突にルイゾワおじいさんは詠唱を止め、空を見上げました。なんで?貴方は逃げないの?飛べるはず‥‥!そう思って、声をかけようとして‥‥、そして、分ったんです。

    おじいさんにも見えてるんだ。願ったんだ。
    消えない流れ星に。

    もはや音も無い光柱だけの世界に、おじいさんの声が聞こえました。
    「未来から来た嬢ちゃんや、ここから先は危険じゃ、帰りなさい」
    「で、でも、おじいさんは!?」
    「なに、少しばかり沢山願い事をしても、罰は当たらんじゃろう?」
    そして世界が途切れます。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・

    これが、私が見たすべてです。

    光柱の長さは今日の計測では、過去に4年、未来に1年分でした。
    霊災から丁度4年経っています。そして1年後。
    必ず帰ってきます。ルイゾワおじいさんが繋いだ希望が。

    A.E.1571年9月5日 決戦の地にて エル・カナン
    (8)
    Last edited by lucia; 02-05-2013 at 08:59 PM.

  2. #32
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50



    リアルお姫様ライフ(1)
    A.E.1571年10月29日 風が気持ちいい晴れ

    うん、分ってたよ。私が寝てる間に何か仕掛けるだろうって事は。ある程度覚悟して目を開けたんだけどね。

    なにこれ。

    シルクの天蓋ベットに、大理石の上に赤いカーペットが敷き詰められた豪華な部屋。冬になったら使えそうな暖炉もある。調度品もいろいろあって、下手に触ったら大変なことになりそう。

    着てる服も亜麻布っぽいし、細かいレースの刺繍も入ってて。昔、裁判長の家に泊まった時に用意してもらった服も高級品っぽかったけど、それが庶民の服に思えるような。

    ちょっと体を起こしたらやっぱり眩暈がするので、普通に8週間寝てたようだけれど‥‥。この体調で動き回るとどう考えても大惨事を引き起こしそうだったので、体を起こすだけに留めて窓の外の景色を眺めてた。

    「おはようございます、姫様。お目覚めでございますか?」

    これは、本格的にお姫様ごっこを仕掛けられましたかね。綺麗な侍女さんが登場。まだ眩暈がするので歩くのが不安だと伝えると、朝は部屋で食事をとることになりました。暖かいものが欲しいと少しわがままを言ってみると、ホットミルクと、牛乳・卵・砂糖漬けのパン。上品な甘さでふわトロですよぉ~~。

    侍女の人はずっとついてくれていて。私が体を慣らすために室内でゆっくり歩いたりしているのをサポートしてくれました。「二人はいないの?」と尋ねましたが、今日はこちらに来る予定は無いとのこと。あら、残念‥‥。

    「昼食はどうされますか?」と聞かれたので、多分歩けるから出る、と伝えました。

    それからの話は明日の日記で。




    リアルお姫様ライフ(2)
    A.E.1571年10月30日 今日も良い天気

    そろそろ昼食なのでお着換えください、と言われる。なんかすごいドレス出てきた!

    そして出たら更にすごかった。え、なにこの、総大理石造りの廊下。‥‥そういえば、部屋の窓からの景色がやけに高い位置だったけどと思いつつ、廊下の窓をふと見ると、ウルダハランディングが下に見える。

    えーと、ランディングより上って王宮しかないよね‥‥。昼食は広間で取るとのことで、相当覚悟して入室。覚悟はそれでも足りませんでした。

    「やっと起きたか、過去視の姫。わらわは待ちくたびれたぞ!」
    「えっと‥‥、どちらさまですか?」

    ここが王宮である可能性を自覚していた私にとって最悪の質問。偉い人に違いありませんわ。ララフェルさん相手だとどうしても親近感を持ちすぎる私をこの時ほど後悔したことはありません。

    「ふふふ、お互い名乗るのは後回しじゃ。まずは親交を兼ねて食事を取ろうではないか。」
    「は、はい‥‥、いただきますっ。」

    でもお腹空いてたんだよね。豪華な食事に手を付けながら、親しげに投げかけられる質問に、ついつい話が弾んじゃって。ララフェルの姫は、ことのほか霊災時の様子を知りたかったようで、特に不滅隊指令局長のラウバーンについての事をよく話してた。

    私が消息について決定的な情報を持っていないことに残念がってはいたけど、彼の武勇を目をキラキラさせて話す彼女の姿には好感が持てた。ラウバーンさんは大事な人なんだね。

    そしてそろそろ、いくらなんでも気が付いている私は、それでも話を切り出せず。‥‥現ウルダハ王朝ってララフェル族でしたよね。

    「‥‥あのっ!これまでの非礼をお許しください!王家ゆかりの方とお見受けしますが、なにぶん私はこの地の知識が無くっ!」
    「わらわは、ナナモ・ウル・ナモ。ただの女王に過ぎぬ。そなたのような力も持たぬ、ただの人間。顔をあげるのだ、過去視の姫よ。そなたはもっと胸を張っていいのじゃぞ?」

    ウルダハトップかー。やっぱりそうですかー。‥‥でもそれより、何か寂しげな響きに違和感を感じて、私は顔をあげました。

    あれ、なんだか長くなったね。更に明日に続けます。




    リアルお姫様ライフ(3)
    A.E.1571年10月31日 曇り

    「まだ話したりぬのお‥‥。そうじゃ!庶民のおなごは、『ぱじゃまぱーてぃ』とやらをするのであろう?わらわの部屋で続きを楽しもうぞ。部屋に茶と菓子を用意せよ!」
    「はい?え?そのお?」

    昼間っからパジャマパーティもないと思うのですが、そこに突っ込む余裕もなく、歓談の舞台は女王様のベットに移りました。服もパジャマ‥‥というには場違いの高級寝巻が用意され。うわー、この寝具豪華だなぁ。紅茶こぼしたら大変なことになりそうだ‥‥。

    と、緊張してたのですが、女王様の人柄ゆえか、エル・ナナモと呼び合う仲に‥‥さすがに私は様付けですよ。ただ、少し気になったのは、女王様といえど、ウルダハのトップというわけではないという事。

    「ウルダハはお金ですべてが動く国。王家といえど、その掟には逆らえぬ。ラウバーンはわらわの数少ない味方じゃったが、あれも霊災で行方不明じゃ。今のわらわは、女王という肩書だけ。孤立無援のおなごに過ぎぬ。」
    「ナナモ様は、この国を守ったじゃありませんか!あの霊災で壊滅的な被害の中、人的被害を奇跡的なくらい最小限に抑えたって聞いてます。私が裁判‥‥友達のレレセナ君と出会えたのだって、きっと女王様のおかげ!ウルダハの人が、ナナモ様を肩書だけの女王だなんて思ってるわけない!‥‥あ、ありませんよっ。」
    「‥‥そうかのお?わらわも、まんざらじゃないかのお?」
    「そうですそうです!ラウバーン様もきっと帰ってきます!」

    そんな感じで、侍女が付いてお菓子やお茶がいくらでも出てくる豪華絢爛なパジャマパーティ?は楽しく時が過ぎて。丁度今日、私も日常生活に支障が無いくらい体力が戻ったので、グリダニアに戻ることになりました。

    そうそう、二人とはLSで連絡とったんだけど、元気そうでした。裁判長とくらいは会えるかなって思ってたんだけど、都合がつかなくて残念。

    自室に戻ったの、何か月ぶりだろう~~。女王様には失礼だけど、やっぱりこのベットが一番落ち着くよぉ。おやすみ!
    (7)
    Last edited by lucia; 02-08-2013 at 11:43 PM.

  3. #33
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50



    A.E.1571年11月1日

    ウルダハの予算会議は、極めてシンプルだ。王家と砂蠍衆が集まり、それぞれが必要と思う項目に、必要なだけの金をつける。金の量が発言力に直結していた。

    「‥‥帝国への警戒、蛮神や謎の塔の調査など含めまして、軍事費として20兆ギルを要求します。」
    「ふむ。いくら出す?」女王ナナモは議場を見渡す。その問いかけに対し、各自が回答した。合計は1兆ギルに満たない。

    「何じゃ、辛気臭いのお。よい、残りはすべてわらわが出す。全額認めよ。」「ははっ。」予算要求者は一礼をし、場から退場した。

    「よいのですかな?」場の一人が声をかける。
    「なんじゃ?」
    「国庫が底をつくのではないかと‥‥。」
    「ああ、そうじゃな‥‥。うむ。200兆ギルほど用立てたい。誰ぞ、わらわに貸さぬか。」
    場内がざわめく。何人かが利率などを提示し、ちょっとした競売になる。しばらくのちに契約は交わされ、ナナモはその場で書面にサインした。

    会議はその後も滞りなく進行され、閉場となった。砂蠍衆がみな退場した後、側近の一人が遠慮がちに声をかける。

    「陛下。恐れながら申し上げます。」
    「何じゃ?」
    「そこまで軍事費は必要でしょうか?」
    「必要と思うたから金をつけたまでじゃ。」
    「しかし、今日の会議では王家が付ける予算が特出しておりました。借りてまで予算を付ける必要があったのでしょうか?」
    「あ奴らは、金の力を見誤っておる。ため込んでるうちはただの財布よ。いくらでも引き出せばよい。」
    「しかし、これ以上の借入は王家の権威を損なう恐れが‥‥。」
    「かまわぬ。」

    ナナモは一蹴する。

    「人を動かすのは何かわかるか?」
    「??」
    側近達は首をかしげた。

    「力だ。」
    何を当たり前のことを‥‥?しかし、女王は続ける。

    「金も、心も‥‥、動いてこそ力になるのじゃ。ぶつかり、砕け、全てを押し流す。その荒ぶる様に、人は惹かれる。自分の力をぶつけてみようと感じる。貯め込んでいても何も見えぬ、何も感じぬ。自分で動かぬものに、王の資格は無い。」

    はっとして側近達は顔を上げる。

    「わらわは黄金都市ウルダハの王。世界で一番、金を動かすもの。民はわらわに魅せられ、わらわのために金を動かすのじゃ。その奔流が集まる限り、わらわの力は揺るがぬ。」

    その目に、力が戻っていた。つい先日まで宿していた不安の色は微塵もない。王としての確固たる自信に満ちている。鋭い眼光に射抜かれ、慌てて頭を下げる。

    「わらわ以上に多くの金を動かすものが現れたなら、わらわは喜んでこの王位を受け渡そうぞ。しかし、あ奴らはその器ではない。気にせずともよいわ。」

    ナナモは踵を返し、玉座を後にする。その姿が消えても、側近たちは傅いていた。

    (過去視の姫が『未来』を見たのだ。4年耐えた。あと1年などあっという間じゃ。わらわは止まらぬ、待っておれ、ラウバーン!)

    星が生んだアニマの力を操るもの。人が生んだ金の力を操るもの。世界が力の奔流に再び飲み込まれるまで1年弱。竜たちはそれぞれの力を武器に、戦いに備えていた。
    (6)
    Last edited by lucia; 02-08-2013 at 11:44 PM.

  4. #34
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50



    ルイゾワおじいさんは何を願った?
    A.E.1571年11月4日 紅葉が綺麗

    キャプテンからLSに連絡がありました。決戦の日のルイゾワおじいさんの行動に、「何か引っかかるな‥‥。」とずっとぼやいてたんだけど、今日、「やっぱりおかしいわよ!」と。???

    「5年は飛ばし過ぎ。」
    「どうして?」
    「気になって十二跡調査会の資料を確認したんだけどさ。逃がすだけなら未来へテレポさせる必要ないじゃん。未来に飛ばすにしたって、アニマの消費は一人当たり50も無いのよ。」
    「どれだけ未来でも?」
    「うん。一時的に仮死状態にして地脈に飛ばして、時間が来たら元に戻すんだけど、アニマを消費するのは最初と最後だけで、年数はほとんど関係ないのよね。」
    「へー。‥‥うーんと、復興するのが5年後くらいって読んだとか?」
    「それもおかしい。5年後がどうなるかなんて、神様じゃないとわからない。バハムートが一瞬先の未来を崩そうとしてる状況で、5年先を心配するのは理屈に合わない。」

    へえ‥‥?続きは明日の日記で。




    アニマ借金王
    A.E.1571年11月5日 雨模様

    「推測できる状況は二つ。彼には少なくとも、3~4年先の状況が分かっていた。エルを通じてね。」

    昨日の日記の続きです。キャプテンが推測する、ルイゾワおじいさんの行動の真相。

    「基本的に、未来を知ることは膨大なアニマの借金に繋がるみたい。エルと会話することは、相当大きなリスクだ。どこかで借金を返す必要が生じる。」
    「!‥‥そ、そんな風には見えなかったけど。」
    「そもそも、ただ記憶を見てるだけのエルと会話することがほとんどありえない状況。秘術でもあるんでしょうけど、いずれにせよエルとの2回の接触‥‥決戦の時を含めれば3回ね。接触には膨大な代償を支払う必要があったはず。それでも彼は、『少なくとも3~4年先まで大きな動きが無い』状況が作れることを知りたかった。」

    「‥‥」押し黙る私に、キャプテンは続ける。

    「もう一つ。冒険者全員の『5年分』のアニマを、彼は必要とした。」
    「え?」
    「未来に飛ばした冒険者たちにも、アニマは供給される。だけど、仮死状態の間、アニマは不要なの。ここまでは分かるね?」
    「うん。」
    「冒険者全員の5年分の『アニマ』を担保に、地脈の力を一度に引き出したとしたら?」
    「!?で、でも一人の人間がそんなこと‥‥。」
    「そうね。人間がそんなことしたら、体の維持が出来るとは思えない。魂すら吹き飛びかねないけど‥‥。それだけのアニマを使って、バハムート相手に何かをした。」
    「そんな‥‥。」
    「何をしたかはわからない。拘束したのか、契約なのか。いずれにせよ絶大な力を持つはずのバハムートは、世界を滅ぼさなかった。エルを最後まで立ち会わせ無かったのは、アニマが集中しすぎて危険だったからでしょ。大したじいさんねー。」

    改めて言葉を失った。すごい人だ。そんな人と数回でも会話をできる機会を得たことに感謝しないと。

    「そんな借金して、昏睡しなかったのは凄いなあ。」
    「それは簡単。不眠の魔法でもあったんでしょ?呪術とか調べたら普通にありそう。」
    「あー。そういえばルイゾワおじいさんの肌荒れ、ひどかった気がする‥‥。」
    「そっち~~~!(笑)アンタは一生かかってもじいさんに追いつけないね!」
    「無理無理!お肌の方が大事だもの!」

    最後の方、感謝のかけらもなかったことはこの日記だけに伏せておきます。
    (6)
    Last edited by lucia; 02-08-2013 at 11:46 PM.

  5. #35
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50



    アニマの売買について
    A.E.1572年5月7日 五月晴れ

    最近、冒険者ギルドのテレポシステムに新技術が導入され、アニマ消費の効率化と、アニマをギルで買うことで移動制限を解除できるようになりました。ちょっと思うことがあるので書いておきます。

    アニマを他人から受け取ることができる技術は、そもそもルイゾワさんが持つ秘術が、私の過去視を通じて再発見されたものです。その時はほとんど心に留めていませんでしたが、インスピレーションを受けたウルダハ呪術ギルドの一派が、研究改良を重ね、実用化に至ったと聞きました。

    便利になったと思います。でも、やり取りされるアニマが「正当なもの」なのか、私にはわかりません。表向きはアニマを余らせた人の小遣い稼ぎだとされていますが、私はアニマが「自分の限界と無関係に引き出す事ができる」ものだと知っています。

    例えば、どうしようもない借金の糧として仕方なく引き出したとしたら?余命幾ばくも無い人が「どうせ死ぬなら」と寿命以上に引き出したとしたら?便利だからと、全ての人が星から「踏み倒す借金」を繰り返せば、星はどうなるんだろう?

    私が過去視で失った時間に後悔してるわけじゃない。ルイゾワおじいさんの行いを否定するわけじゃない。実用化した研究者たちは凄いと思う。

    だけど、私が開けてしまった箱は、本当に未来を明るくしてくれるのかな。

    帝国ではアニマの取り扱い技術がずっと進んでいて、意図的に人からアニマを限界まで奪うことで奴隷化しているという噂さえあります。今回導入された技術は、帝国の姿勢を肯定することに繋がらない?

    アニマが無いと心は伝えられない。いくら心が無傷でも、伝える手段が無ければ、そこに心は見つけられないんだ。他人のアニマを、たとえ対価を支払ったのだとしても、奪い取る行為は正当化できないんじゃないか?

    今は答えが見つからなくて。
    こないだからずっと、小骨が刺さったような感じです。



    ふふふ、エルなりに、色々思うところがあったようですね。
    成長したんだねえ。
    そしてついに、霊災から5年が経ちました。



    あれ?
    A.E.1572年9月5日

    霊災から5年。ルイゾワおじいさんの転送呪文が目指す未来の日。式典は粛々と執り行われ、あとは冒険者が帰るのを待つばかりでしたが‥‥。

    今は夜。日記に書くべき出来事は何も起こらず。あれ、あれ、あれええええ???




    誤差だ!
    A.E.1572年9月6日

    さすがにまずいと思って、お守りの石を測定しなおし。誤差があったああ!今日はあちこちのLSで、報告と平謝りばっかりでした。戻ってくるのはもうちょっとだけ先。油断してたよ‥‥。
    (5)
    Last edited by lucia; 02-08-2013 at 11:48 PM.

  6. #36
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50



    A.E.1572年9月17日

    「そろそろなんだけどなー‥‥」

    5年前の過去から未来へ延びる光の先端は、もうほとんど目線の高さに降りていました。ちなみに一番下は遥か下方、下手に触れると膨大な借金を背負いかねません。お守りの石は、普段は手元に置かないようにしています。

    てっきり霊災から丁度5年に帰ってくると油断していましたが、考えてみればあの戦いの中、そこまで厳密に魔法を使う余裕などあるはずが無いのです。あわてて測定しなおした結果は、今日の深夜3時ごろでした。それからかれこれ1時間。窓の外に目を向けて、私は何度目かのあくびを飲み込んでます。

    北の空に流れる流れ星に、私はぼーっと視線を向けて。何個か数えてから、慌てて手元の石を机に置きました。

    (あれはテレポの光だ!)

    北に窓はありません。今見えているのは、沢山の冒険者たちを5年後に飛ばして、最後にしかるべき場所に転送しているアニマの力。エーテライトの力を借りないので、その燐光は北の空から直接、流れ星のように見えると予想されていました。

    お守りの石からも光が飛ぶはず。お姉ちゃんがいるのは、きっとその先です。

    (‥‥飛んだ!)

    一瞬の残光を見逃さず、飛んだ方向を机にチェック。すぐに地図を広げ、同じ方向に線を引きました。そのあと私は、祈るようにお姉ちゃんのリンクシェルを確認します。

    光ってる!私は飛びついて名前を連呼、ほとんど叫び声でした。

    「わあああ、なに、なに、エルちゃん、どーしたの?」
    「やっと繋がった!心配したんだから!ばかあああ‥‥」
    「あー、そーかそーかぁ、ごめんねえ。」

    5年経っても、その声は変わらずどこかノンキ。怪我してない事を確認した後、迎えに行くと伝えると、

    「迎えにって‥‥、まって、外は危ないよ!大人に伝えてもらえばいいから!」
    と慌てて拒否の声が返ってきました。

    そうだ、お姉ちゃんにとって私はまだ8歳。心配はかけたくないし、でも驚かせたい。私はちょっと考えてから、

    「えっと‥‥、あのね、わたし。地図とお星さまの見方、教えてもらったんだ。知り合いの大人の人に伝えるから、そこからみえるおほしさま、おしえて?」

    と、ちょっと舌足らずに喋ってみました。

    「‥‥ん?」

    やば、なんだか不思議ちゃんみたいな感じです。8歳児の演技は諦めて用件だけ伝えました。いくつかのやり取りをして、地図にもう一つの直線を引いて。ここにいる。幸い、エーテライトを使えばそんなに遠くない場所でした。ここなら‥‥

    「待っててね。火事で色々変わってて危ないから。エーテライトも壊れてテレポ使えなくなってるから。知り合いの女の人が、昼までに迎えに行くって。動いちゃだめだよ。」
    「ありがとー。じゃあ適当に野宿してる。来てくれるのは私が知ってる人?」
    「知ってるけど知らない人!」
    「??」

    これ以上話すとボロが出そうで、少し強引に会話を切りました。私の身長はとっくにお姉ちゃんを超えていました。すぐに気付かれることは無いはず。抱き着いてびっくりさせようか、ちょっと大人の女性を演じてみようか、あれこれ想像しながら装備を用意して。

    「あとは‥‥、えーとこの引き出しに‥‥。」
    最後の荷物を詰め込んだ私は、テレポを唱え、アニマの輝きに身を任せます。

    迎えに行くんだ。鞄いっぱいに5年分の冒険をつめて。
    (6)
    Last edited by lucia; 02-08-2013 at 11:49 PM.

  7. #37
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50



    A.E.1572年9月17日




    (エルの日記 完)
    (7)
    Last edited by lucia; 02-09-2013 at 12:39 AM.

  8. #38
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50

    あとがき

    終末ムービーのルイゾワさんの最後の視線の先が気になって、その時心に浮かんだ光景がこのシリーズの始まり。「ねがいを、そらに」が一番古い原稿ですねえ。未来へのテレポは、どんなふうに見えるの?未来と過去はどんなふうに見えているの?

    FF14では、「未来」と「過去」にある背後の世界設定はかなり強固なものと感じています。でも、旧14では過去視の謎について、導入にすら到着していません。第7霊災から新生までの5年間を使って、過去視の背景を掘り下げてみたのが「エルの日記」です。

    自分が楽しむためにしか書いていないため、普通のライト小説などでは必要な、ひきつける導入部がとても弱いです><。あと、14章構成は最初から決めてましたが、進めるにしたがって「アニマ」の概念が思ったより重要なことに気が付きました。アニマの掘り下げをしてたら予想以上にギリギリの構成になってしまって、恋愛要素を突っ込めなかったのが残念です(^^;

    もしこのシリーズの続編を書くとすれば、新生後の未来ではなく、やっぱり「新生までの5年間」のどこかを舞台にするでしょう。この期間はエルたちにとっての新雪。スクエニさえ踏み込むことのない、永遠のオープンワールドですから。

    となると、「冒険者のお姉ちゃん」の出番は永遠に来ないことになるのかな(笑)ともあれ、ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。これにて完結です。


    「エルのイラスト」募集します!
    (5)
    Last edited by lucia; 02-08-2013 at 11:52 PM.

  9. #39
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50
    「イラスト募集!&小説を肴に雑談しませんか?」

    そろそろファンタジー口調が疲れすぎるので素に戻りますね><

    如何でしたか?おもしろくなかった?結構楽しめました?

    実はこの物語、まだ未完成かなあと感じていまして‥‥。もしよろしければ、皆さんに相談させて頂いて色々仕上げていきたいと考えているのです。あとは、現行14がどうだったのかとか、本当の新生はどうなるのかとか、世界観とかの雑談ができたらいいなあと思ってます。

    ということで、このスレでやりたいこと!


    ■そちらの世界はどうなってますか?
    実際の新生エオルゼアの世界観を予想したり、新生への期待を雑談しませんか?作品とは関係なくても結構です。感じたことなど、こちらのスレを自由に使って、皆さんのお話をお聞かせください。

    「エルの日記」は元ネタとして、ご自由にお使いください。βが始まるまで、またβ3が始まって情報公開された後は、新生14の世界との差異を検証したり、色々楽しめたらいいなと思ってます!


    ■この物語のイラストを募集します!
    ・各シーンのイメージイラスト
    ・幼いころの絵日記
    ・その他諸々

    イラストをご提供いただける方は、貼り付けたい場所を引用の上、このスレに画像を張り付けてください。白黒の場合はホワイト調整をこちらで行い、カラーの場合はそのまま掲載します。

    また、ロードストーンでも「エルのイラスト」をキーワードに、募集してみる予定です。まだちょっと募集要項とか準備できてないんですが、捕捉だけは開始します。あ、捕捉忘れがあったら誰か教えてください><



    ■いつから、いつまで?
    実は超スロースタータースレッドです><
    多分、β前くらいまで誰も来ないかもしれません‥‥。その場合でも作品の完成度を上げるためにコッソリ活動はしていると思います。最悪、完成作品置き場になってるだけかもしれませんが、ゆっくり楽しみたいと思います。

    当初はβ1までかと思いましたが、予定変更です!守秘義務解除のタイミングまでは、ダラダラと続けます!で、守秘義務解除後に、正誤表でものすごい勢いでダメ出し食らう予定です><


    ■ということで
    楽しんでいってください~。
    (11)
    Last edited by lucia; 01-30-2013 at 08:29 PM.

  10. #40
    Player
    lucia's Avatar
    Join Date
    Mar 2011
    Location
    グリダニア
    Posts
    915
    Character
    Lucia Neith
    World
    Durandal
    Main Class
    Archer Lv 50
    すいません、完全に風邪ひいたのと、大事なことに気が付いたので路線変更します‥‥。
    とりあえず皆さんが読んだかなーと思うタイミングまで、一旦待とうと思います。

    これ、そもそも全部読むまで誰もレス付けられないって感じですよね、このスレ!
    この路線はいろいろ問題ありすぎるのでちょっと考え中です。アイデアあったら教えてください‥‥。暫くは準備期間として、あえて新記事作らずに潜伏してます><

    ただ、小説としての読みやすさはフォーラムがダントツですので、そのためだけでも確保できたかいがあったと思ってます。

    とりあえず土曜日までは、続きのアップは控えます。土曜日に作業しますので、それまでに「全部読みたい」というお話があれば全部一気に用意しようと思います。

    あとその、お話というか、皆さんにご相談なのですけど‥‥
    リムサのナンバー2って、誰かご存知ですか?(^^;

    とりあえず、「エルの日記」の設定では、グランカンパニーメンバーは全員5年転送に巻き込まれた、という事にしているんです。リムサは霊災時に提督が自ら出陣してたので、街の防衛は誰かに任せたはずなんですが‥‥。

    リムサの指揮系統がよく分っていません、調べる前にサーバダウンしちゃいました><。もし情報をお持ちの方が居られましたらお聞かせください‥‥。
    (9)
    Last edited by lucia; 01-30-2013 at 08:48 PM.

Page 4 of 8 FirstFirst ... 2 3 4 5 6 ... LastLast