ファイナルファンタジーXIVをご愛顧いただいている皆さん、こんにちは。
この文字ベースでお届けしているプロデューサーレターも第20回を迎えました。

そして、先日のプロデューサーレターLIVE、いかがでしたでしょうか?
日本以外のリージョンの皆さんには、翻訳などでご迷惑をおかけしました。
また、ドイツなどの一部のリージョンやスマートフォンからの視聴にも難があり、
これらは今回の反省を元に、次回プロデューサーレターLIVE後編への課題にさせて頂きます。

ワールドワイドに顔を出し、リアルタイムに言葉を発することは、
吉田自身初めての経験で、なかなかに緊張しました
10月末~11月頭にかけて、プロデューサーレターLIVE後篇を予定していますので、
そちらもお楽しみに!

そして、エオルゼアの大激変となったパッチ1.19の方も、お楽しみ頂けているでしょうか?
一部バランスブレイクがあった点も、本日のパッチ1.19aでの対応以降、
随時修正や調整を行っていきますので、フィードバック宜しくお願い致します。

注目の「真イフリート討滅戦」ですが……。冒険者の皆さんは本当に手ごわい!
既に討滅報告がフォーラムやThe Lodestoneの日記にてアップされていますが、
注目の世界最速の討滅は2011/10/8 11:58:33 JSTにGysahlワールドの
冒険者の皆さんによって達成されました!
開発一同、敬意を表させて頂きます
次回パッチ1.20の蛮神コンテンツでは、さてどうなるでしょうか……

パッチ1.19ではコンテンツの追加はもちろんのこと、
これまでのエオルゼアのルールそのものに影響を与える、数多くの変更を実装させて頂きました。
吉田と開発チーム/運営チームが「理想とするファイナルファンタジーXIV」に向けて、
本格的な第一歩となったパッチです。

当然、これまでのルールやスタイルが変わる部分も多く、プレイヤーの皆さんには、
それぞれ「よかった部分」と「困惑されている部分」と、必ず両方が混在していると思います。
重要なのは「修正や変更の意図」と常々思っていますので、これからもレターやフォーラムへの投稿、
各種メディアへのインタビューを通じて、皆さんとのコミュニケーションをこれからも大切にしていきたいと考えています!

さて、節目となる第20回目のこのレターでは、パッチ1.19よりも未来……
今後のファイナルファンタジーXIVの向かうべき方向について、
吉田の考える方針を述べさせて頂こうと思います。
(相変わらずの長文ゆえ、お時間のあるときにじっくりお読みください^^)


現世代MMORPGのテーマ

ファイナルファンタジーXIVはMMORPGです。
しかもMMORPGの黎明期ではなく、MMO市場が成熟期を迎えた時代に、
グローバルに展開する前提で、リリースされたMMORPGです。

比較となるMMORPGは数多く、円熟期を迎えたタイトルから、
新規で斬新なものまで、多種多様に存在する時代です。

その中でファイナルファンタジーXIVが、ファイナルファンタジーである前に、
メジャーMMORPGとして、「グローバルであること」「間口が広いこと」「安心感があること」の三点が、
絶対に必要だと、吉田は思っています。


MMORPG=テーマパーク

吉田は、MMORPGはテーマパークだとよく例に挙げます。
テーマパークには、数多くのテーマが異なるアトラクションが用意されています。
メリーゴーランド、ゴーカート、観覧車(更にスリルを加えた透明ゴンドラもありますね)、そして数々の絶叫マシン。
ホラーハウスもあるし、パークで働くキャストの方々のプロ意識も素晴らしいと思います。
お客様は様々な年代、様々な要求、様々なシチュエーションで、作り上げられた「世界」に遊びにいらっしゃいます。

第一世代のMMORPGは、同じくテーマパークの中でも、
非常にテーマがはっきりしていたのが特徴です。
バランスの取れたパーティメンバー集めと集合には数時間、ダンジョンの難易度は高く、
デスペナルティは厳しく、全滅すれば2週間分のEXPが一瞬にして完全ロスト。
挙句の果てに、自分の武器防具は全滅位置に落ちてしまい、
裸一貫で装備回収からやり直し。もはやEXPなど二の次です(笑)
気がつけば午前5時、でも装備を回収しなければ、寝るわけにはいかない。
「よし!サブ装備を着て30分後に集合!」リーダーの気合いのチャットが響きます。
まあ、大抵このあと2回目の全滅で、全員涙目になるわけですが……。
まさしく絶叫系アトラクションが山盛りでした!

吉田自身、何度も徹夜しましたし、会社も休みました(スミマセン)。
今でも一晩中あの時代のエピソードを語れますし、とにかく楽しかった!

ですが、現世代のゲームプレイヤーの皆さんの生活スタイル、好み、
ライフワークバランスは、当時と比べて、とても多種多様になっています。
ゲーム以外の家庭や通勤時におけるエンターテイメント産業も、大幅に拡大され、
他社のゲームだけが、自分たちのゲームのライバルでは無くなっています。

「ゲームに人生を賭ける」人がいるのもOK、吉田もそういう人間です(笑)
ですが、それだけではやはり、疲れてしまいますし、ついていけない人もいます。
だから、テーマパークであるべき現世代のMMORPGには、多種多様な乗り物や、
施設、仕様が必要になってくると考えているのです。


ゼロ/イチではなく選択できること

例えば、パッチ1.19リリース前後で、ディスカッションが行われていた、
FFXIVのアイテム装備条件の仕様について。

ひとつは現行の装備アイテムの仕様。「誰でも装備が可能である」代わりに、
推奨クラスがあり、推奨レベルが存在する。ただし、この推奨条件に合わなければ、
性能が落ちてしまいます。劣化も早い。

利点は、装備するだけなら縛りが少ないので、オシャレが可能です。
デメリットは、計算式によってダウンする、パラメータのわかりにくさ。

もう一方、これからパッチなどで追加されるアイテムには「特定クラス(ジョブ)専用」、
「装備可能レベル」という限定条件をもったものが登場します。

利点は、条件がある代わりに非常に強力な性能かつ、非常に明確な装備目標となる点。
開発はバランスが取りやすく、そのクラス(ジョブ)に特化したデザインも可能です。
デメリットは、制限が強いので誰もが身に着けられるわけではなく、オシャレし難いこと。

吉田は「どっちもあってよい」と思っています。これは、どっちつかず、でしょうか?
いずれも望む声、メリットデメリットがあります。ですからどちらも存在して構いません。

序盤のレベルから中盤までは、ある程度なんでも装備可能で、入手もしやすい。
オシャレもどんどん可能。また、クラフターが作るベーシックなアイテムは、
レベル50であっても、推奨条件装備であってよいかと思います。
好みのデザインをマテリアクラフトで強化すれば、性能も任意に向上させられます。

しかし、クラスに特化した強力な効果を持つアイテム、何度もコンテンツへ挑んで、
勝ち取っていくような、入手難易度の高いアイテムには、そのクラスやジョブへの
誇りが持てるように、条件をしっかり設定しようと考えています。

いずれの装備を目標にするか。
街の中でのおしゃれ装備、ライトパーティコンテンツへのアタック、
フルパーティコンテンツへのアタック、それぞれ装備内容は、皆さん自身の趣向で、
選択=チョイスして頂けたらよいなと。
プレイスタイルと好みに応じて、いずれかを選択してください。
それでよいと思っています。ゼロかイチかの議論ではなく、選択と割合の問題です。
(既にパッチ1.19でのフィードバックも沢山頂いています。対応していきますので、
 今後も、一方が足りない!偏ってる!と感じた場合、フィードバックをください!)


カジュアルとヘビィとプレイヤーマッチング

オンラインゲームには「オンラインヒエラルキー」という概念(吉田がそう呼んでいるだけですが)が存在します。
ピラミッド型の図形を用いて説明されますが、三角形の頂点には、昼夜問わず、
寝食を忘れてゲームに没頭するヘビィゲーマーが収まり、
三角形の裾野に向かって、そのゲームへの趣向はカジュアルになっていきます。
よって、プレイヤーの皆さんの人数分布も、三角形の下部へ向かうにつれて、
広がりを見せることになります(優劣の話ではありません)。

第一世代のMMORPGは、とにかくこの三角形が細く、縦に長かった時代。
現世代MMORPGでは、ピラミッド形の頂点の位置は高く保ちつつ、
三角形の左右2編の角度を、非常に緩やかに設計するべきと考えます。
カジュアルとヘビィ、そのどちらも共存して貰うためのテーマパーク、
それが、吉田が目指しているMMORPGの最低条件です。

ヘビィゲーマーは、常にパッチの最先端を突っ走ってください。
誰よりも早くイフリートを倒し、イフリートのクラス専用武器を手に入れ、
皆の憧れの的になってください。
蛮族砦の群れ成すモンスターを少ないパーティ人数で攻略し、
その攻略をフォーラムへポストしてください。

カジュアルプレイヤーは、LSメンバーとチョコボでエオルゼアを駆け、
飛空艇を眺め、それからゆっくりと、イフリートへと挑んでみてください。
その頃には、攻略方法もある程度固まっており、じっくり戦えることと思います。
どうぞ、焦る必要はありません。いずれのプレイスタイルも正解です。
必要があれば難易度調整や、難易度を選択するシステムの実装も検討します。

ひとつのコンテンツをとっても、その攻略、アイテム入手までは、
プレイヤーの皆さんの間で時差が発生します。

ヘビィゲーマーは常に最先端を。中間層はその背中を追って。カジュアルプレイヤーは、
自分たちの速度でゆっくりと……。
そんな「自分に見合ったペースでいいんだね」という「安心感」こそ、
現世代のMMORPGには欠かせない、とても大切な要素だと強く思っています。

この理想を実現するためには、進行速度差のあるプレイヤー同士を繋ぐ、
強力なプレイヤーマッチングのシステムが必要なので、
他のMMORPGの良いところを積極的に学ばせて頂き、これからの大きな課題として、
しっかり取り組んで行こうと思っています。Add onを含め、UIももちろんです。

特にUIはマウス+キーボード操作に、まだまだ難があることは、とても強く感じています。
吉田もマウス+キーボードプレイヤーですので、「グローバル」という視点を強く意識して、
引き続き改修と全改修を進めていくつもりです。

開発チームの掲げる理想は高く、険しいかもしれませんが、
必ず成し遂げるつもりで、これからもFFXIVは、全力で突っ走ります!


その先にあるファイナルファンタジーらしさ

上記に書きましたように、今後のFFXIVでは、何か仕様を変更したり、
何か追加する際に、バッサリと「ゼロかイチ」という仕様はあまりないとお考えください。
(必要なバッサリはかなり実行させて頂いたので……。)
カジュアルなコンテンツか、ヘビィなコンテンツかによって、仕様が分かれている、
もしくは、ゼロとイチは共存しながらも、その時々で割合が異なる、
と思って頂いても良いかもしれません。

例えばマテリアクラフト。
まっさらな武器防具に、マテリアを装着するときの成功率は100%です。
しかも、マテリアは全身7カ所(クラスによって多少変動)に装着可能なので、
トータルすれば、一回のマテリア装着で、十二分にパワーアップ可能です。
ここまでは「コツコツ時間をかければ、誰でも到達可能」なカジュアルの頂点。

「禁断のマテリアクラフト」は、武器防具に強烈な負荷をかけて、
多大なリスクを背負ってでも、更なる頂点=欲望に向かって突っ走るからこそ、
「禁断」なのであり、ヘビィプレイヤー向けと位置付けています。
「禁断」失敗時のアイテム全ロストは、世界的に見てもかなり「尖った頂点」だと
思っていますが、吉田自身が決めたこの仕様は、現世代のヘビィプレイヤーへの
ある種の挑戦状でもあります。確率も含めて、さて如何でしょうか……。

パッチ1.19では、コンテンツの追加と、仕様の調整を多岐に渡って行いました。
できるだけそのコンテンツや仕様の「意図」をプレイヤーの皆さんに、
お伝えしようと努力はしているつもりですが、なかなか全てをお伝えすることは難しく、
また、不可能な部分もあるかと思います。
(こんな長文読んでられない!というのも、もちろん理由のひとつでしょうし^^;)

ですが、我々開発チームは、ひとつひとつの仕様やシステムに、想いを込め、
実装のための必要性を真剣に議論し、それにマッチした設定を書き、
キャラクタを生みだし、シナリオを紡ぎ、実装を経て、
エオルゼアの世界に登場させています。
時間的制約はありますが、どれ一つ「適当に決めた」というものはありません。

開発も人間なので、吉田も開発チームも、時に間違いを犯す可能性はあります。
その際には、頂いた皆さんのお声(フィードバック)を元に、
我々はFFXIVというテーマパークを運営する最高のキャストである、とプライドを持って、
次なるサービスの向上に向けて、努力を重ねようと思います!

そしてこの「当たり前ですが、とても難しいこと」の先に、
皆さんが住むエオルゼアの世界が、ドラマチックに、ダイナミックに、
冒険や驚きで満ち溢れることこそ、FFXIVの目指す、
ファイナルファンタジーらしさだと思っています。
「ファンタジーの王道」「MMORPGの王道」が吉田のテーマです。

現在のFFXIVには、世界一と誇れる、時に厳しく、時に優しいお客様が、本当に沢山いらっしゃいます。
我々FFXIVチームと、スクウェア・エニックスは、皆さんに笑顔でプレイして頂けるように、
皆さんと共に創り上げてゆく、そんなMMORPGとして、
これからも、ファイナルファンタジーXIVを盛り上げて行きたいと思います!

もしよろしければ、このレターをお読みになった後で、以下のフォーラムへのポストも
ご一読頂けると幸いです。

そして本日、10月14日、日本時間午後5時以降、The Lodestoneにご注目ください。
世界一のお客様である皆さんのために、開発チームがこれまで行ってきたことのご報告と、
皆さんが安心し、プライドを持ってFFXIVをプレイし続けられますように、
これから我々が作り上げるFFXIVの未来について、資料を公開させて頂きます。

今後も色々なご報告を、色々な場所でさせて頂きます。
そのそれぞれが、いずれ「ファイナルファンタジーXIVらしいな」と言って頂けるように、
これからも、皆さんとのコミュニケーションは、最優先事項として、
大切していこうと、心に誓っています!

それでは、次回のレター、もしくはフォーラム、
そして、プロデューサーレターLIVE後編でお会いしましょう! See you soon!