Originally Posted by
val63
これは、何らかのアクションがあることを期待していいのでしょうか? というか、とてとて期待しちゃってますけどw
失望させたいわけではないですし、別にここの内容を非難や批判するつもりは毛頭ありませんが、
ただ、「何らかのアクションがあることを期待」されても、
たぶん、実際には現状とあまり変わらず、変更される部分があったとしてもごく一部のみということになるかと...
今の開発がそういうことに無頓着だということではなく、コンピュータの発色と人間の色覚の
すり合わせという作業は、ただそういう言葉にしてみればさして難しくはなさそうなんですが、
実際には相当な労力が伴うものなので。
長文につき折り畳み。
以前、個人的にランダム文字色というのを作ろうとしたことがあります。
「背景色は固定で指定しておいて、文字色がランダムで変わる。
ただし、背景色に近い色、または読みにくい組み合わせになる色は文字色の候補から除く」というものです。
で、どうなったかというと、「読みにくい組み合わせの色」についてネットで文献漁って、
概略は分かったものの、数式だの実際の変換だのについて理解しきれている自信がなくて、
その時は結局やめました、と・・・w
要は、#12でval63さんが書いてる数式なんですが。
コンピュータの色は、一般的にRGBで表現されます。
黒(RGB(0,0,0))は全て発色なし。白(RGB(255,255,255))は全て同じ発色。
赤(RGB(255,0,0))は赤要素だけ最大の発色。緑(RGB(0,255,0))は緑要素だけ、という具合です。
コンピュータにとって、RGB(255,0,0)とRGB(0,255,0)は、色相が違うだけで、
明度と彩度(あるいは輝度と彩度)は全く同一です。
簡単なところで言えば、Windowsのペイントの色編集で赤255緑0青0にした場合と、
赤0緑255青0にした場合を比べれば、鮮やかさ(彩度)240と明るさ(明度)120で同じに
扱われていることが分かります。
では、全く同一の2つのディスプレイを並べて、片方はRGB(255,0,0)、
もう一方にはRGB(0,255,0)を全面に表示して、それを遠くから見た時にどう見えるかというと、
人間には緑の方が明るく見えます。RGB を YCbCr に変換する数式
Y(輝度) = (R×0.29891) + (G×0.58661) + (B×0.11448)
の、それぞれの色に対する重み付けを見れば、違いがあるのが分かるでしょう。
緑というのは、赤に対して2倍、青に対して5倍ぐらい明るく見える色です。
この差の理由は、人間の視覚には緑を感じる細胞が多いので、細かく見分けられるからだとかなんとか。
人間の見ている色と蝶の見ている色は違う、なんて話がありますが、それと同じ理由です。
これが要するにどういうことになるかというと、色覚に障害のある人が赤と緑を見た場合、
RGB(255,0,0)とRGB(0,255,0)は明るさで区別ができるわけです。実際に区別のできない組み合わせは、
計算上は、RGB(255,0,0)に対して、緑なら(G=255*0.29891/0.58661で)RGB(0,130,0)。
灰色なら RGB(76,76,76) になります。
ペイントでこの3色を作って比べると、「えっ!?」って思う人が大半のはずです。
理屈は分かっても、感覚的には全く理解が追いつかないというか、
「区別しにくい組み合わせを使わないように意識して配色作業をやれ」と言われたら、
わたしなら頭下げてごめんなさいと言ってしまうというか…。
ものすごく訓練しないと、そういう感覚を培うことはできないだろうなということだけは分かります。
表示中の画面から、機械的に輝度情報だけを抜き出すことならばできるでしょうし、
公共の表示の変更、たとえば「信号の青は どう見ても緑(by嘉門達夫)」なのと同じように、
HPゲージのような、よく使われる主要部分が一度全面的に見直しされて、
大きく改善できるところがあるなら、それはとてもいいことだと思います。
名前同一の色違いにすることが重要とは思えないものについて、たとえば挙がっているVWのトラップなどは、
名前違いにするという方向での改善でもいいはずです(というかむしろそうするべき)
ただ、エンプティ族のように、名前同一の属性違いということが特徴になっているようなものは、
調整といってもかなり難しいのではないかと。
また、それで軽度の色覚障害の方にとってはある程度の改善が見込めたとしても、
書き込みを見る限り、val63さんの場合は軽度ではなくおそらく中程度以上のようで、
そこまで踏み込んで変えようとすると、今度は別の問題が発生します。
ヴァナのPCネームを、最大発色でとても明るい白の部分を多めにすると、
ゲーム画面上でとても強調されることになります。ありていに言えば、目が疲れるのです。
ff11のゲーム画面の大抵の部分は有彩色なので、白の明るさを若干落としても、
背景の有彩色に対して白が無彩色であるというだけで十分に目立って、
PCネームであるという判別は容易。それがさらに強調されてしまうことになります。
一方で、NPCネームの緑は、ある程度明るい緑が使われています。
ヴァナには夜がありますから、暗くなってNPCネームが背景にまぎれて見にくくなるのは困るからです。
NPCネームとして緑が採用されたのは、色彩的に「目立ちすぎない」ことが要求されるからでしょう。
(色覚とは別の分野での色の意味。赤は警告色だとか、そういう部分での「目立たない」ということです)
若干明るさを落とした白と、それなりに明るい緑。
前述した数式をみれば、輝度が近いものになるだろうことは分かります。
しかし、ではPCネームを明るくするかNPCネームを暗くするかという解決策が使えるかといえば、
そもそも、それぞれの色はヴァナの色使いにおいて、目立ちすぎず暗くなりすぎずで
調整された上で決定しているわけですから、おいそれと変えられるものでもないです。
さらに、色覚障害というのは、必ずしも赤緑色盲に限らないという点もあります。
比率で言えばごく少数とはいえ、青系統(第3色盲)の色覚障害の場合もありますから、
それらを全て考慮して「こういう調整ならばOK」というのを出すのはかなり難しいものがあります。
それこそ、青が緑に見えるぐらいまで色を変更しないといけないわけですから、
微調整と言える範囲を大幅に超えてしまいます。
色の明るさを変えるために色相が変わることまで容認して変更するとなると、
文字が強調され色合いが不自然で、なんだか派手でケバケバしい、
見ていて落ち着かない画面になるでしょうね。
もしも、ここまで踏み込んで調整しようとするのであれば、一番現実的な手段として、
色空間を調整したプロファイルをそれぞれ用意して、必要に応じてそちらを選択できるようにする、
ということになるでしょうが…。それだけでもかなりの作業量になるはずです。
それをやるならば、それぞれのプロファイルでどのように見えるか、徹底的な洗い出しが必要になるわけで。
しっかり手間かけて「ウチは大丈夫です!」と言えるようになれば、結構な宣伝になるくらいの
効果もあるはず(※ 黄色人種男性の場合、程度を問わなければ、色覚障害の割合は20人に1人。
白人男性ならもっと高くなります。いずれにしろ相当な人数です)なんですが、
主要なゲーム機のメーカーがほぼ沈黙していることからも分かるように、
そうそう手をつけられるものでもないです。
縛りの少ないエンターティメントであればこそ、そういう部分にも踏み込みやすいように思えますが、
なかなか現実はそうもいかないようで。ぶっちゃけ予算つかないんでしょうね。
配色の担当が、個人で勉強して気をつけておく、程度の対応に留まる場合がほとんどかと。
繰り返しますが、色覚障害に対応すること自体を非難するつもりはありません。
取り除けるならば、そういった種類の問題も積極的に解決していく方がいいに決まっているし、
また、個人的にも、そういう方向に進めばいいなと望んでいます。
(でなければ文献漁ってちょっと勉強してみようとかやってないです)
ただ、実際にはその対応が遅々として進まず、それこそ、見た目には何もやっていないように
見えたとしても、それは仕方のない部分がある、というのも理解する必要があると考えています。
限られたリソース内で開発する上で、「あちらを立てればこちらが立たず」というものでもあるので。